北朝鮮が極超音速ミサイル迎撃回避技術をすでに完成し、技術開発に必要な情報は海外へのサイバー攻撃によって盗んだとする国連の報告書が公表された。国連安全保障理事会北朝鮮制裁委員会は今月1日(現地時間)、これらの内容が記載された専門家パネルの年次報告書を公開した。
北朝鮮制裁委員会の専門家パネル報告書は「北朝鮮は最近の大陸間弾道ミサイル(ICBM)試験発射前から執拗(しつよう)に弾道ミサイル技術の開発..
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北朝鮮が極超音速ミサイル迎撃回避技術をすでに完成し、技術開発に必要な情報は海外へのサイバー攻撃によって盗んだとする国連の報告書が公表された。国連安全保障理事会北朝鮮制裁委員会は今月1日(現地時間)、これらの内容が記載された専門家パネルの年次報告書を公開した。
北朝鮮制裁委員会の専門家パネル報告書は「北朝鮮は最近の大陸間弾道ミサイル(ICBM)試験発射前から執拗(しつよう)に弾道ミサイル技術の開発を続けてきた」とした上で「北朝鮮は極超音速ミサイル迎撃回避技術をすでに完成した可能性があり、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の配備も進めている」との見方を示した。北朝鮮はすでに変則軌道の低空飛行が可能な極超音速ミサイルを移動式発射車両などから発射することに成功し、現在韓米の迎撃システムでは対応が難しいとの指摘がなされている。パネルは国連加盟国の情報当局からの話として「開発に必要な技術情報をハッカーの支援によって入手したか、あるいは盗み出したとみられる」と指摘した。
北朝鮮は大量破壊兵器である弾道ミサイルの開発に必要な原材料や部品の取引が国際社会による制裁で厳しく禁じられているにもかかわらず、中国とロシアがひそかに支援を行ってきたことも分かった。とりわけモスクワ駐在北朝鮮大使館所属の外交官オ・ヨンホ氏(60)らについてパネル報告書は「ロシア製原材料調達の総責任者だった」と指摘している。オ・ヨンホ氏は液体燃料を使用する弾道ミサイルの製造に必要な特殊ステンレス合金やSLBM本体用の合金9トン(2018年)、ロシアの巡航ミサイルTRDD50の設計図(2019年)、ベアリングとミサイルの固体燃料合成マニュアル(2020年)などをロシア企業やミサイル技術者などから入手し北朝鮮に持ち帰っていた。
報告書によると、北朝鮮は朝鮮機械貿易総会社のキム・ジョンドク氏を通じ、中国丹東の企業から昨年だけで少なくとも4回にわたりステンレス合金やバルブ、ポンプ、ベアリングなどミサイルエンジンの部品を注文し手に入れた。北朝鮮軍需工業部(省に相当、以下同じ)はリム・リョンナムという人物を通じ2019-20年に中国瀋陽からアルミニウム粉末などミサイルの固体燃料製造に必要な材料を購入していた。
これについてロシア政府と中国政府は国連からの聞き取りに「禁輸対象の物品を北朝鮮人たちが購入したかどうかに関する情報はわれわれにはない」と説明した。企業も回答しなかった。一方で北朝鮮は先月、緊急の国連総会でロシアによるウクライナ侵攻非難決議案に反対した5カ国のうちの1カ国となった。中国とロシアは先月25日、北朝鮮によるICBM発射を非難する国連安保理のメディア向け声明を阻止した。
北朝鮮はコロナ・パンデミック直後から国境を封鎖してきたが、制裁を回避しながら外貨稼ぎと武器開発を進めるためサイバー攻撃など数々のデジタル犯罪に力を入れてきたことも分かった。報告書には「北朝鮮偵察総局と連携したサイバー攻撃者たちは2020年から昨年の中ごろまで北米や欧州、アジアなど少なくとも3カ所の仮想通貨取引所から総額5000万ドル(約61億円)以上を盗み出した」と指摘し、さらに「北朝鮮は昨年だけで少なくとも7件のサイバー攻撃で4億ドル(約490億円)以上の仮想通貨を盗んだ」とする民間のサイバーセキュリティー会社チェイナリシスによる試算も紹介した。その一方で米財務省は1日、ICBM開発を支援した北朝鮮のロケット工業部と朝鮮勝利山貿易会社、朝鮮合掌江貿易会社、ウンチョン貿易会社など5カ所を制裁対象に加えた。
ニューヨーク=鄭始幸(チョン・シヘン)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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