最近の急激なウォン安を防ぐ手段として韓国の大統領職引き継ぎ委員会は21日、韓米通貨スワップを韓米首脳会談の議題とする方向で検討している。通貨スワップとは自国の通貨を相手国に預け、相手国の通貨やドルを借りられることを取り決める契約だ。最近のウォン安で輸入物価が高騰する中、考えられる対策の一つとして検討されている。
引き継ぎ委員会の関係者は3日「韓米首脳会談の案件に通貨スワップを含める方向で意見がま..
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最近の急激なウォン安を防ぐ手段として韓国の大統領職引き継ぎ委員会は21日、韓米通貨スワップを韓米首脳会談の議題とする方向で検討している。通貨スワップとは自国の通貨を相手国に預け、相手国の通貨やドルを借りられることを取り決める契約だ。最近のウォン安で輸入物価が高騰する中、考えられる対策の一つとして検討されている。
引き継ぎ委員会の関係者は3日「韓米首脳会談の案件に通貨スワップを含める方向で意見がまとまりつつあり、これを米国側に打診するつもりだ」と明らかにした。韓国銀行と米国の中央銀行はコロナが発生した2020年3月に600億ドル(現在のレートで約7兆8000億円、以下同じ)を上限とする通貨スワップ契約を結んだが、これは昨年12月に終了した。
しかし最近のウォン安と輸入物価の高騰で改めて韓米通貨スワップが検討されるようになった。1月末以降1ドル1200ウォン(約124円)前後の値をつけていたドル・ウォンは3日には1267.8ウォン(約130.75円)にまで下落した。韓国銀行によると3月の輸入物価指数は前月比で7.3%上昇した。
韓国は2020年にコロナが発生した時、そして08年のリーマンショックの時も米国との通貨スワップでウォン安を乗り切ったことがある。スワップの規模は08年は300億ドル(約3兆9000億円)、20年は600億ドルだった。韓国の次期政権で経済副首相兼企画財政部(省に相当)長官に指名されている秋慶鎬(チュ・ギョンホ)議員は2日に行われた人事聴聞会で「韓米通貨スワップは為替の安定などにおいて重要と考えている」と述べた。
韓国銀行による基準金利引き上げもウォン安対策の一つだ。基準金利が上がればウォンの価値が上昇するからだ。通貨の価値が上がれば商品の価値は相対的に下落することから、これは物価対策の一つの手段だ。
韓国銀行は今月26日から基準金利を見直すが、現時点では利上げに踏み切る可能性が高い。3日に公表された4月の金融通貨委員会議事録には「物価」という言葉が129回も登場した。金融通貨委員会の委員らは「当分はインフレ率が4%台を維持する」と予想している。韓国銀行が5月の基準金利を引き上げた場合、先月に続いて2カ月連続の利上げとなる。これは2007年以来15年ぶりのことだ。
ただし利上げは為替や物価対策の側面がある一方で、景気の失速をもたらすとの警戒感も根強い。
韓国政府は備蓄を放出し、主要な穀物などに割当関税を適用するなど物価対策をすすめているが、その効果は微々たるものだ。割当関税は一定の割当量までは関税を抑えることで輸入物価を引き下げる制度だ。一部の品目については効果が認められるが、最近の物価上昇はあらゆる品目に及んでいるためその効果には限界がある。
キム・テジュン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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