ソウル市長選:朴元淳氏が当選

20‐40代が朴元淳氏支持

ソウル市長以外はハンナラ党が全勝

 26日に行われたソウル市長選で、野党側の統一候補となった無所属の朴元淳(パク・ウォンスン)候補が、与党ハンナラ党のナ・ギョンウォン候補を破った。27日午前1時現在、朴候補の得票率は53.2%、ナ候補の得票率は46.4%となり、選挙管理委員会は朴候補の当選が確実との結論を下した。

 1995年に広域自治体(日本の都道府県・政令指定都市に相当)の長の公選が始まって以来、無所属の候補者がソウル市長に当選したのは今回が初めてだ。これは朴候補だけの勝利ではなく、朴候補を支援した左派の市民団体が政治の表舞台に登場したことを意味する。

 先月初め、安哲秀(アン・チョルス)ソウル大融合科学技術大学院長がソウル市長候補として注目を集めたことが「政党政治の危機」を予告するものだとすれば、安氏が支持した朴候補の当選は、その危機が現実のものになったことを意味する。候補者一本化をめぐる競争で敗れ、ソウル市長候補を擁立できなかった民主党も、朴槿恵(パク・クンヘ)元代表を前面に立てて総力戦を繰り広げながら敗れたハンナラ党も、民意を反映する機能が大きく損なわれたことが確認されたというわけだ。

 今回の選挙結果は、韓国政治のパラダイムの変化をもたらす「ビッグバン」となり得る。朴候補の勝利には、野党側の統一候補という点だけでなく、無党派層の票が集まったという点も大きく貢献した。アジア通貨危機や所得の二極化による苦痛を身に染みて感じてきた20-40代の有権者の怒りが、旧態依然とした政界に対する反感となって表れたというわけだ。これらの世代は、政界のダイナミックな変化を求めている。

 これらの世代の思いを代弁するため、与野党から第3の政治勢力が登場する可能性もある。安哲秀氏を支持する勢力や、朴候補を支持する左派団体、ハンナラ党に失望した右派などがしのぎを削ることも考えられ得る。

 来年の国会議員総選挙を前に、ハンナラ党や民主党も生き残りを懸けて再編を断行するものとみられる。特にハンナラ党は全面的な再編が不可避となった。また、民主党は盧武鉉(ノ・ムヒョン)財団の文在寅(ムン・ジェイン)理事長を中心とした進歩派との統合や、安哲秀・朴元淳両氏に代表される「場外勢力」との統合、あるいは候補者の一本化などをめぐって駆け引きを余儀なくされるとみられる。

 また、今回の選挙結果は、朴槿恵元ハンナラ党代表や民主党の孫鶴圭(ソン・ハッキュ)代表、文在寅氏といった潜在的な大統領選候補者たちにとっても、これ以上現状に安住できないほどの衝撃を与えた。大統領選の有力候補として地歩を固めた安哲秀氏は、来年の大統領選に向け、何らかの騒動を巻き起こすものとみられる。

 一方、基礎自治体(市区町村に相当)の長11人の再・補欠選挙では、野党が「釜山市・慶尚南道地域の橋頭堡(ほ)」として関心を寄せていた釜山市東区のほか、ハンナラ党が候補者を擁立した7自治体(江原道麟蹄郡、慶尚南道咸陽郡、忠清北道忠州市、大邱市西区、慶尚北道漆谷郡、忠清南道瑞山市、ソウル市陽川区)全てで同党の候補者が勝利した。ソウル以外の地域の自治体の長を選ぶ選挙では、政党が影響力を失わなかったことを示す結果だ。これに対し民主党は、候補者を擁立した7自治体のうち、全羅北道南原市と同道淳昌郡を除く5自治体で敗れた。

ペ・ソンギュ記者
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