全長430キロの済州オルレ、監視カメラ1台もなし

警察「パトロール強化や非常ベル設置などの対策を取りまとめたい」

 済州オルレ(トレッキングコース)を観光中に殺害されたKさんの弟(39)は23日、自らのブログに「済州道観光の活性化という美名の下、安全対策もないままつくられた済州オルレ。ここに妻や娘が1人で旅行したいと言っても、誰がそれを許すだろうか」「監視カメラは1台も設置されておらず、私も案内表示がない場所で2回も道に迷った」などと書き込んだ。

 警察は、Kさんが1人でオルレ第1コースを歩いていた際に殺害されたとにらんでいる。警察によると、全長430キロのオルレにはKさんが歩いていた第1コース(15.6キロ)をはじめとする26のコースと、正規コースではない五つのコースがあるが、監視カメラは1台も設置されていない。慶尚南道統営市で発生した小学女児の拉致・殺害事件の場合、容疑者の自宅周辺に設置された監視カメラの映像が容疑者逮捕の大きな手掛かりとなった。警察の関係者は「人工的な物体を避け、自然の美を強調するために造成されたコースのため、監視カメラはあえて設置しなかったと聞いている」とコメントした。

 済州オルレには、観光客がトレッキングを楽しみながら瞑想などができるよう、海岸や林の中などにコースがいくつもあるが、それらは普段人通りがほとんどないという。現地の住民も「平日は昼も夜も旅行客を見掛けることはほとんどない」と話す。2010年11月には、オルレを1人で歩いていた40代の女性が崖から3メートル下に転落し、47時間後にようやく救助される事故が発生した。当時、警察は失踪届けを受けてからオルレ周辺をくまなく捜索し、何とか女性を発見できたという。

 済州オルレには現在地を知らせる案内表示なども設置されておらず、初めて訪れた観光客は道に迷いやすい。済州地方警察庁の関係者は「漢拏山の登山コースに案内表示があるように、オルレにも一定間隔で案内表示を設置すべきだ。そうすれば観光客が万が一道に迷ったときも、自分のいる場所を把握できるはずだ」と提案している。

 済州オルレを訪れる観光客は2008年には3万人だったが、昨年は109万人、今年は6月までに60万人に達している。

 警察はオルレやその周辺コース、観光地周辺の裏道など、犯罪が起こりやすい場所でのパトロールを強化するとともに、コースを歩くときや危険な場所では2人以上ペアになって歩くよう注意を呼び掛けている。また中長期的な対策としては、地元の自治体などと協力し、コース内の死角になりやすい場所を中心に監視カメラや街灯、案内表示、危険な状況に直面した場合にすぐ通報できる非常ベルなどを設置する方針だ。

済州道= オ・ジェヨン記者
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