【コラム】米軍用「国営慰安所」まで作っていた日本

 RAAには、あらゆる支援と特別待遇が与えられた。日本政府は建築資材や家具・衣服・寝具などを現物出資し、1200万個のコンドームまで提供した。資本金1億円のうち5500万円は、大蔵省が保証を与えたともいう。今の貨幣価値に換算すると数百億円にもなる巨額の資金だった。

 当時、財政支援を担当した池田勇人大蔵省主計局長は「大和民族の純潔を守るためには(5500万円でも)安い」と語ったという。池田氏は、その後上昇気流に乗って首相の座にまで上り、4年にわたり政権を握った。池田氏のように国営慰安所を当然視する人物が、戦後日本の政界・官界を引っ張った。そのゆがんだ精神世界が今もなお受け継がれ、安倍首相や橋下代表の脳細胞にも刻み込まれているかのようだ。

 私は、敗戦直後の日本の指導者が抱いた切迫感を理解できる気がする。自分の妻や娘が辱められるのではないかと、恐怖に震えたことだろう。しかしそれでも、人の心を持った国なら、自国民を国営売春婦にするという発想はしない。

 当時がそうなら今もそうで、日本の政治指導者は恥ずべき過去を恥じていない。「どこの国の軍隊にも慰安婦はいた」と強弁する人々を見ると、あぜんとするばかりだ。橋下代表は、過去の恥部までさらけ出して「米軍も日本の慰安婦を利用した」と主張した。この発言を聞いて私は、女郎屋の主人が客に向かって「あなたも私の店に来たじゃないか」と言い返す場面を思い浮かべた。

 米軍用の国営慰安所は、朝鮮人女性を連行した戦中の慰安婦制度と軌を一にしている。国家目標のため女性の性と人間の尊厳を踏みにじることもあり得るという発想は、全く同じものだ。搾取の対象が日本の女性か、朝鮮の女性かという差があるだけの、鳥肌が立つ軍国主義的発想だ。今の日本の政治家が、かつて朝鮮人慰安婦だった人々を「売春婦」とののしる精神構造の根は、ここにあるらしい。

朴正薫(パク・チョンフン)副局長・企画エディター
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