参院選:憲法改正に反対、宮崎駿氏らが投票訴える

 21日に行われる参議院議員選挙で、憲法改正を公約している自民党の圧勝が確実視されている中、「平和憲法を守ろう」と主張する知識人や市民団体が国民に投票を訴えた。

 世界的に有名なアニメ作家で映画監督の宮崎駿氏(72)は「平和憲法の改正を阻止するため、積極的に投票するべきだ」と訴えた。『千と千尋の神隠し』など数多くの作品をヒットさせた宮崎氏は、所属するアニメ制作会社「スタジオジブリ」が発行するアニメ関連の小冊子『熱風』最新号への特別寄稿で「安倍晋三首相が憲法改正のための手続き(第96条)をまず変更しようというのは(戦争を禁じる第9条の改正に向け)国民をだますものだ」と批判した。

 その上で宮崎氏は「戦前の日本について肯定的に評価する政治家たちは歴史認識が不十分で、見ていて恐ろしい。考えが足りない人たちが憲法に手を付けるようなことはあってはならない」と主張した。また、安倍首相が「(侵略戦争について謝罪した)村山談話を基本的に尊重する」と発言したことについて「『基本的に』というのはどういう意味なのか」と批判した。さらに旧日本軍の従軍慰安婦問題についても「民族のプライドに関わる問題なので、十分に謝罪し賠償を行うべきだ」と主張した。

 スタジオジブリ側は参院選に先立ち、宮崎氏の寄稿記事をより多くの人々が読めるよう、ウェブサイトでも公開している。発行された小冊子約5000部は品切れ状態になっている。スタジオジブリ側は「安倍首相の憲法改正の目的が第9条の改正にあるということを、より多くの人々が正しく理解するべきだ。憲法の問題について国民の関心が薄いのは、メディアの責任も大きい」と主張している。戦争を経験した世代が立ち上げた「『憲法9条-世界へ未来へ』連絡会」も最近、3472人からカンパを集め、朝日新聞に「日本国憲法を改悪しようとする人たちにわれわれの票を与えることはできない」という意見広告を掲載した。同連絡会は広告を通じ「(自民党が)平和憲法を改め、戦前に逆戻りしようとし、戦争ができる国をつくろうとしている」と主張した。また、市民団体「ピースボート」も19日、国会で記者会見を行い、憲法改正に反対するため投票するよう訴えた。

 市民団体が活発な動きを見せているのは、自民党の圧勝が早くから予想されている中、投票率が史上最低となる可能性が高まっているためだ。朝日新聞による最近の世論調査の結果「参院選に大変関心がある」と回答した人は31%にとどまり、2007年(45%)と10年(40%)の参院選当時に比べ低い結果となった。

東京= 車学峰(チャ・ハクポン)特派員
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