【萬物相】でたらめ韓国旅行ガイドブック

【萬物相】でたらめ韓国旅行ガイドブック

 旅行ガイドブック「ロンリープラネット」はその名の通り「ひとりぼっちの惑星」を漂う旅行客の間で飛ぶように売れ、過去40年間で1億冊が出版された。英語・フランス語・ドイツ語だけでなく中国語・韓国語など九つの言語で出ている。従業員は450人、執筆者は200人。広告は掲載せず、現場取材時は無料の食事・宿泊先提供も断る。「情報の客観性が損なわれるのではという懸念があるから」だ。執筆者は必ず事前に研究を重ね、「自らの足で踏み入った場所、食べたものだけを書く」ことになっている。

 このガイドブックは1970年代の初めに誕生した。20歳の英国人女性がロンドンの公園で24歳の男性と知り合った。二人は翌年結婚し、さらにその翌年、新婚旅行で欧州・アジア・オーストラリアを旅して回った。旅行費用を使い果たしてしまい、体力的にも疲れ果てたが幸せな旅だった。旅の話を聞いた友人が「本を出せば」とアドバイスしてくれた。二人がキッチンのテーブルで数日間にわたり夜通し書いたのが『安くアジアを旅する』という最初のガイドブックだった。1500部を印刷したがすぐに完売した。それから二人はほかの本も出し、徐々に発行部数を伸ばしていった。この二人こそ『ロンリープラネット』の創業者、ウィーラー夫妻だ。

 同ガイドブックにおける韓国の評価は高くない。2009年の公式サイトに掲載された「最も嫌いな都市」9都市ではソウルが3位に入っている。「ソウルは無秩序に伸びた道路、旧ソ連スタイルのコンクリートのマンション、ひどい大気汚染など、魂も心もない所だ。だから韓国人は息の詰まるような単調さからアルコール依存症になっていく」。コンクリートの街に不満を抱くことはあるだろう。だが、魂と心がなくてアルコール依存症になっていくというくだりにはあ然とした。ソウル市が対応を取るかとも思ったが、そうした話は聞かない。

 朝鮮日報出版チームが『ロンリープラネット韓国』(2013年)をじっくりと読んでみた。現代史に関する部分に「6・25(朝鮮戦争)時に中国軍が介入したのは事大主義のため」と書いてある。対外関係では「韓国は隣国と仲良くできない国」とあった。「人種問題」「無秩序な政府」などに関する部分でも皮肉ったり見下したりした描写が多かった。ソウルについてだけ書いた本『ロンリープラネット ソウル』(12年)には「韓国は918年に高麗が統一した」と書かれている。統一新羅時代がないのだ。

 ソウル市が2010年に1億4000万ウォン(約1200万円)をかけて英国で出版したガイドブック『スタイル・シティ・ソウル』はもっとひどい。1978年に建てられた世宗文化会館を「奇怪な建物」と表現、「80年代まで韓国の建築は平壌の建物に倣って建てられたようだ」と書かれている。ソウル市は海外で出版された韓国旅行ガイドブック18種を支援している。そのうちいくつかは『ロンリープラネット』と執筆者が同じだ。ソウル市はそうしたことすら事前に調べていないのだから、自分の金で自分の顔に泥を塗ることになったのも当然の結果だろう。

キム・グァンイル論説委員
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