韓国のネット社会に噴出する愛国過剰とその反作用

韓国を過度に賛美する「クッポン」の実態
「国家」と「覚せい剤」からの合成語が急速に広まる

韓国のネット社会に噴出する愛国過剰とその反作用

 「Do you know Gangnam Style?(あなたは『江南スタイル』を知っていますか)」。8月14日、映画のPRを兼ねて来韓した米国の俳優マット・デイモン氏と、7月25日に来韓した同国のミュージシャン、クインシー・ジョーンズ氏は共に、韓国でこのような質問を受けた。海外の有名人が韓国に入国するときや、記者会見の際、韓国の歌手PSY(サイ)の「乗馬ダンス」を披露するのは今や「通過儀礼」となった。米国の俳優ロバート・ダウニー・ジュニア氏やウィル・スミス氏もまた、これを逃れることはできなかった。インターネットユーザーたちは「相手がする気もないことを無理強いしているようで、見ていて腹が立つ」と書き込んだ。「クッポン」という造語が広がり始めたのもこのころだ。「国家(韓国語でクッカ)」と「ヒロポン(覚せい剤)」を合成したこの造語は、過度に国家を自慢しようとする状況を皮肉ったものだ。外国人にキムチや独島(日本名:竹島)、PSYなどについての考えを尋ねる「『Do you know…』シリーズ」の流行に代表される、韓国を無条件で賛美する様子をあざ笑っているのだ。

■「クッポン」は韓国の民族性か

 昨年10月、米国務省の記者会見の際、韓国の通信社の記者が「PSYの『江南スタイル』を知っているか」と尋ねた動画が最近、インターネット上に流れたのをきっかけに、「クッポン」をめぐる論議が一気に広まった。先月20日、SBSテレビの番組に出演した米国の俳優ヒュー・ジャックマン氏に対し、韓国の女性グループSISTARのメンバー、ソユが素手でキムチをちぎって食べさせた場面も同様だ。この番組のサイトの掲示板には「キムチを食べさせ韓服(韓国の伝統衣装)を着せる極端な『クッポン』」と皮肉る書き込みが相次いだ。慶煕大学英米文化学部のイ・テックァン教授は「韓国人はキムチのようなブランドを通じ、優秀な社会的遺伝子を持っているという点を他者に認めてもらおうとする傾向がある。その対象は概ね、強大国やその国から来た人たちだ」と指摘した。

 韓国のさまざまな分野のニュースについて、海外のネットユーザーの反応を翻訳し紹介する「ケソムン(犬のうわさ)ドットコム」や「カセンイ(端、縁)ドットコム」などのウェブサイトも、「クッポン」とされる強迫的な表現を用いている。これらのサイトは「(韓国映画の)『雪国列車』公開」「韓国海軍、1800トン級潜水艦『安重根(アン・ジュングン)』を公開」といったニュースに対する、海外のネットユーザーたちのコメントを翻訳し紹介している。高麗大学社会学科のイ・ミョンジン教授はこれについて「自慢ではなく不安感の表れだ」との見方を示した。その上で「経済・文化的な基盤に対し誇りに思うのなら、あえてそれを強調する必要はないはずだが、(『クッポン』とされる言動は)現在の韓国の位置付けがそれだけ不安定であいまいということの裏返しだ」と説明した。

チョン・サンヒョク記者
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