知的障害者やホームレスを人身売買、約2億円荒稼ぎ

人身売買組織のメンバー12人を逮捕
仕事の紹介などを餌に誘い出し監禁、名義を利用し銀行口座を開設
携帯電話やクレジットカードを契約、詐欺グループに転売
信用度に合わせて値段を付け、ほかの組織に売る

知的障害者やホームレスを人身売買、約2億円荒稼ぎ

 知的障害者やホームレスなど11人を誘い出して監禁し、その名義を使って携帯電話の契約をしたり、銀行口座を開設したりして、これらを売却した後、被害者たちを信用度に応じた値段でほかの組織に売り渡していた人身売買組織が警察に検挙された。被害者たちを買った組織もまた、被害者たちを監禁し、ヤミ金融やカード詐欺などに手を染めたとして検挙された。京畿道楊平警察署は30日、上記のような手口で20億ウォン(約1億8600万円)の収入を得ていた人身売買組織のメンバー18人を検挙、12人を逮捕した。

 警察によると、家出していた知的障害1級の男性(45)は今年7月4日、ソウル駅で出会った男(64)から「仕事を探してあげる」と持ち掛けられ、付いていった。男は男性をソウル市東大門区典農洞の廃業した喫茶店に連れていき、入浴させて散髪した上で証明写真を撮影した。翌日、男性は人身売買組織に連れ回された。同区長安洞の住民センターで住民登録証の再発行を受け、銀行の支店で口座を開設、携帯電話の代理店に出向いて4台の携帯電話の契約をした。

 男性は翌日、永登浦区文来洞の住民センターで印鑑証明書を受け取った。それから5日間、男性は京畿道安養市のモーテルに監禁され、さらに別の人身売買組織に売り渡された。男性を売り渡した男らは、代金として650万ウォン(約60万円)を受け取った。男性を買い取った組織もまた、ヤミ金融やカード詐欺などで約5000万ウォン(約460万円)の不当な利益を得た。男性は人身売買組織の監視の下、仁川市内のオフィステル(住居兼事務室)に監禁されているところを警察に救出された。

 警察は「人身売買組織は知的障害者やホームレスなど、物事の分別がつかない人たちを狙って犯行に及んだ」と説明した。被害者は11人に上り、うちホームレスが9人、知的障害者が2人となっている。このうち一部は、長期間にわたって居所が分からず、住民登録が抹消されていた。ソウル駅や竜山駅の周辺をうろついていた被害者たちは、人身売買組織の誘いに簡単に乗り、知らず知らずの間に犯罪に利用される奴隷同然の存在になっていた。人身売買組織のメンバーの中には前科50犯の人物もいた。

 人身売買組織は、経済的な能力のない被害者たちの名義を利用し、銀行口座を開設したり、クレジットカードや携帯電話の契約をしたりした。このようにして入手した携帯電話は、フィッシング詐欺や融資詐欺を行うグループに転売し、カード払いを利用して現金も横領した。信用度を高めるため在職証明書を偽造して融資を受けたり、被害者たちを代表者とするペーパーカンパニーを設立して、他人名義の銀行口座を次々と開設したりした。

 また被害者たちを、印鑑証明書など活用する価値のある書類とセットでほかの組織に売り渡したこともあった。この過程で、売買交渉を担当したメンバーは、インターネットの信用度照会サイトを利用して被害者の信用度を確認し、信用度に応じて450万-750万ウォン(約42万-70万円)の値段を付け、ほかの組織に売っていたことが分かった。

 警察の関係者は「行政機関でも、本人が自ら訪問した場合、身分証明書の再発行に応じ、印鑑証明書も発行する。人身売買組織はこのような点を悪用し、さまざまな手口で社会的な弱者をたぶらかしていた」と語った。

楊平= 権祥銀(クォン・サンウン)記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • 知的障害者やホームレスを人身売買、約2億円荒稼ぎ

right

あわせて読みたい