旅客船沈没:「ハドソン川の奇跡」機長は全員救助後に脱出

対照的な米国の旅客機不時着事故
川に不時着、1時間後に乗客が全員救助された後に機長が脱出

旅客船沈没:「ハドソン川の奇跡」機長は全員救助後に脱出

 機長の優れた判断力や操縦能力は、乗客や乗員の命を救うこともある。2009年1月15日、米国ニューヨークのハドソン川に不時着し、乗客150人と乗員5人全員の命を救ったUSエアウェイズ1549便の機長、チェズレイ・サレンバーガー氏(63)のケースがこれに該当する。この事故は「ハドソン川の奇跡」と呼ばれた。

 事故機はニューヨークのラガーディア空港を離陸してから1分後、両翼のエンジンがバードストライク(鳥の衝突)によって全て停止した。空軍戦闘機の元パイロットで、飛行時間が1万9000時間のベテランであるサレンバーガー機長は、空港の管制官に対し無線で「飛行機が鳥の群れに2度ぶつかった」と連絡した。そして管制官の指示に従い、不時着する場所をハドソン川の対岸に見えるテターボロ空港とした。

 だが、それが不可能になったため、サレンバーガー機長は果敢な決定を下した。超高層ビルが立ち並ぶマンハッタンの北側に迂回した後、左に急旋回し、ハドソン川に沿って南下したのだ。そして管制官に「緊急事態のため、ハドソン川に不時着する」と伝え、不時着した後乗客たちが安全に避難できるよう万全を期した。

 離陸から4分後、事故機は厳しい寒さで氷が浮かんでいたハドソン川に、水しぶきを上げて不時着した。少しでも急な角度で着水していれば、川底に突っ込む可能性もあった。だが、サレンバーガー機長の高度な操縦技術のおかげで、事故機の損傷はほとんどなかった。

 サレンバーガー機長から事前に報告を受けていた救助艇や沿岸警備艇は、事故機の胴体が窓の高さまで水に浸かったころ、現場に到着した。一部の乗客は飛行機から泳いで脱出し、翼の上で救助を待った。サレンバーガー機長は救助が一段落した後も、客室内を2回見回った。事故発生から1時間後、乗客と乗員全員が救助され、乗客78人が近くの病院で風邪などを理由に治療を受けた。事故について調査を行った国家運輸安全委員会(NTSB)は「パイロットが示すことのできる、最高の驚くべき能力を発揮した」と説明した。

イ・スンフン記者
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