朝鮮日報記者に質問:『帝国の慰安婦』の内容に一理あるのか

■質問:世宗大学日本文学科の朴裕河(パク・ユハ)教授が著書『帝国の慰安婦』で主張した内容には一理があるのでしょうか。またオム記者は朴教授と会ってみてどんな人だと感じましたか(質問者:ホン・ソンジュン)

■回答:『帝国の慰安婦』で朴教授が主張している内容は(1)の通りです(回答者:オム・ボウン記者)

(1)「日本軍慰安婦」に関する朴裕河・世宗大学日本文学科教授の主張

 朴教授は著書『帝国の慰安婦』の中で「大韓民国において日本軍慰安婦問題は過去に起きた事実という次元にとどまらず、現実の政治や価値観によって影響を受けている」と主張しています。

 同書の306ページには「今必要なのは、彼女たちを『正しい朝鮮人闘士』に仕立て上げることで『国家の品格』を高めることではなく、彼女たちを単なる『一人の個人』に戻してやることだ。中国やオランダのように敵国の女性が『完璧な被害』を受けたという記憶を借りてきて、それによって覆い隠し、朝鮮女性による『協力』の記憶を無きものとし、少女像を作り上げて彼女たちを『民族の娘』に祭り上げる行為は、家父長制と国家の犠牲者だった『慰安婦』をいま一度国家のために犠牲にする行為にすぎない」と記載されています。

 さらに「慰安婦問題を再構成するわれわれの記憶は決して正確なものではなく、互いに異なった記憶の間には闘争が存在する」とした上で、われわれが持つ記憶が不完全であることを指摘しています。つまり朴教授の主張は「韓国人が持っている慰安婦のイメージは、慰安婦たちの『記憶と経験』の片方の側面にすぎない」「そのような形の『慰安婦』そのものに対する不十分な理解と、日本による『謝罪と補償』をめぐる『誤解』、そして現実の政治と絡み合い、またそれ(政治)に利用されていることが、20年以上にわたり慰安婦問題が解決しない最も大きな理由だ」との見解も示しています。

 朴教授は上記のような自らの考えを表明することで、日本軍慰安婦被害者につらい思いをさせたようです。記事にも書きましたが、同書の110ページには「日本軍による性暴力には単発の強姦(ごうかん)、拉致した上での性暴力、管理売春の3種類が存在していた。(中略)朝鮮人慰安婦のほとんどはこの3番目のケースが中心だった」と記載されています。このような記述を実際に日本軍によって拉致され、被害を受けた女性たちが見れば、非常に気分を害すると思います。

(2)朴教授はどのような人物なのか

 読者の質問に対して明確に回答するのは非常に難しいことです。この点はどうかご理解をいただきたいと思います。取材に基づいて今回の問題に関する「事実」を規定することも、また「人物」を規定することもできません。朴教授に対する印象や、断片的な言動だけで本人がどのような人物かを判断することは難しく、またそのような判断は適切ではないと思います。

 朴教授は韓国生まれで、日本の慶応大学と早稲田大学の大学院で日本文学を専攻していました。

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