広島の土砂災害、15年前の教訓生かせず

 広島市内で集中豪雨により土砂崩れが発生、40人以上が死亡または行方不明になっている。広島市内では15年前にも土砂崩れで20人が死亡したが、当時の教訓を生かすことができず、同じ災害が発生したと批判の声が上がっている。

 20日午前3時30分ごろ、広島市安佐南区八木地区の住宅街で裏山が崩れ、大量の土砂が住宅を襲い、十数件が跡形もなく消えてしまった。安佐北区内など十数カ所でも土砂崩れが発生、警察官・消防隊員のほか、自衛隊員約500人が出動して救助作業に当たっている。消防隊員1人が3歳の子どもを救出中に土砂崩れが再び発生、2人とも犠牲になった。警察によると、21日午前1時現在、今回の土砂災害で39人が死亡、7人が行方不明になっているとのことだ。

 土砂崩れが発生したのは、1時間に100ミリメートルを超える大雨のためだった。気象庁は「同地域のこの日の降雨量は243ミリメートルと観測史上最高で、これは8月の平均降水量の1.7倍に相当する」と話している。

 しかし、土砂崩れの危険性があるのにもかかわらず、十分な備えをしていなかったために発生した人災との指摘も出ている。広島市では1999年にも集中豪雨による土砂崩れで20人が死亡した。当時事故を調査した社団法人「土木学会」は「現場周辺では地盤がもろい山間部を切り開いて宅地開発が進められ、土砂災害などの危険性が高い」として行政当局に対策を立てるよう促していた。毎日新聞は「(同地域の地盤は)やわらかいので住宅造成がしやすい」「人口増加に伴い山間部を切り開いた宅地開発が進められてきた」と報じている。

 その一方で、行政当局の対応が遅れたことも批判されている。土砂崩れは同日午前3時20分ごろ発生、住民が電話で救助を求めたが、広島市は発生から1時間もたってから避難勧告を出した。気象庁も「局地的な集中豪雨のため」として災害の危険性を知らせる警報を発していなかった。広島市役所は「予想を上回る豪雨が集中し、適切な対処ができなかった」と話している。昨年10月に伊豆大島で集中豪雨により土砂崩れが発生、39人が犠牲になったが、その時も避難勧告が遅れて被害を大きくしていた。

 また、休暇中の安倍晋三首相が土砂崩れの発生を知りながらゴルフをしていたことが問題になっている。安倍首相は同日午前6時30分に山梨県内の別荘で土砂崩れ発生の報告を受け、被害者の救助に全力を尽くすよう指示したが、森喜朗元首相らと1時間ほどゴルフを楽しんだ。その後、死亡者が増えているという報告を受けてゴルフを中止、午前11時に東京都内の首相官邸に戻った。野党・民主党の大畠章宏幹事長は「安倍首相は朝からゴルフを中止すべきだった」と批判した。

東京=車学峰(チャ・ハクポン)特派員
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