同会長は「高校3年の時にすでに4000万ウォン(約430万円)ほどためていた。当時益山市内の一戸建ての値段が300万ウォン(約32万円)だったから、家10軒相当の現金を持っていたことになる」という。こうして始めた事業を30年で年間売り上げ4兆8000億ウォン(約5100億円)のハリムグループに育て上げた。株式会社ハリム、天下第一飼料、ファームスコ、ソンジン、NSホームショッピングなどが系列会社だ。2011年には米国の食肉企業「アレン・ファミリフーズ」を買収した。
金会長の成功ストーリーは、下級貴族の息子に生まれた島育ちの少年が世界の征服者にまでのし上がるナポレオンの人生とよく似ている。金会長は「私が一代で成功したからか、難しい環境の中でも成功する人が好きだ。特に前向き、挑戦、未来に向かっていく精神に対しては何か『通じる』ものを感じる」と話す。
勉強よりも事業に関心を見せる息子に両親は好意的ではなかった。「兄弟たちはほとんどが公職者だ。両親も教育者だった。家族の中で誰も私のことを認めてくれなかった。しかし、人は自分の適性に合った仕事をしてこそ輝ける。適性に合った事をすれば誰でも天才になれる。それでこそ、失敗しても起き上がることができる」
金会長は何回失敗を経験したか分からない。20歳のころはニワトリとブタの値段が暴落し、財産を失った。通貨危機の時も辛うじて峠を越えた。最大の苦難は2003年に経験した。ハリム工場の中で最大規模だった益山屠(と)鶏工場が火事で全焼してしまったのだ。試練に遭うたびにナポレオンが力になった。
「挫折が襲いくるたびに『余の辞書に不可能という文字はない』というナポレオンの言葉を思い起こした。困難にぶつかったとき、諦めさえしなければ、私と企業は共に成熟していった。ナポレオンと『通じる』ことができたのはナポレオンの『前向きさ』のためだ。否定的な人は全てのチャンスに背を向け、他人を恨むが、前向きな人は1%の可能性しか見えなくても、全てのチャンスをものにするからだ」