「済州4・3記念館は現代史を歪曲」 弁護士団体が提訴

「共産主義政権を樹立しようとした企てを隠蔽」
李承晩元大統領の養子も原告に
記念館は「政府の報告書を土台とし展示物を決定」と主張

 済州4・3記念館の一部の展示物が「歴史を歪曲(わいきょく)している」として、保守系の弁護士団体が展示の禁止を求める訴訟を起こした。同館は1948年に発生した済州島四・三事件(島民の蜂起が引き金となり、軍や警察などが島民を虐殺した事件)の犠牲者たちの霊を慰めるとともに、その歴史的な意味を後世に伝え、犠牲者の名誉回復や平和・人権に関する教育の場として活用する目的で2008年に開設された。

 「韓半島(朝鮮半島)の人権と統一のための弁護士の会(以下、韓弁)」は22日「済州4・3記念館は現代史を歪曲し、大韓民国建国の正当性を否定して、李承晩(イ・スンマン)元大統領の名誉を傷つけている。大韓民国の現代史を正しく記録するという観点で提訴する」として、同館の展示の禁止を求める訴訟をソウル中央地裁に起こした。今回の訴訟には、李承晩元大統領の養子のイ・インスさん(84)と、済州島四・三事件で島民の蜂起の鎮圧に携わった将兵の孫2人なども、韓弁と共に原告に名を連ねた。このほか、大法院(日本の最高裁判所に相当)裁判官出身のイ・ヨンウ弁護士(73)と、憲法裁判所裁判官出身のクォン・ソン弁護士(74)も弁護団に参加した。

 韓弁側は訴状で「済州4・3記念館はパンフレットや展示物を通じ、済州島四・三事件を『不条理に立ち向かった済州道民の正当な抵抗を、李承晩(イ・スンマン)政権が無残な殺戮(さつりく)によって弾圧した事件』と定義している。済州島四・三事件が発生した背景には、大韓民国の建国そのものに反対し、自由民主主義体制を拒否して、共産主義政権を樹立しようという企てがあったにもかかわらず、展示館はこれを隠蔽(いんぺい)し、現代史を大きく傷つけた」と主張した。これに対し済州4・3記念館側は「展示物は済州島四・三事件に関する政府の真相報告書を基に、数回にわたって展示委員会との間で評価や検討を重ねて、展示を決めたものだ」と反論している。

アン・ジュンヒョン記者
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