地雷化する老朽下水管、ソウル各地で道路が陥没

地雷化する老朽下水管、ソウル各地で道路が陥没

 今月2日午後から3日早朝にかけて降った雨が原因で、ソウル各地で大小の「シンクホール(地盤沈下による陥没穴)」が多数発生した。集中豪雨が多い時期ではないにもかかわらず、シンクホールが次々と発生する事態に、市民の不安は増大している。ソウル市は「老朽化した下水管がシンクホール発生の主な原因とみており、持続的に交換作業を行っている」と発表した。しかし専門家らは「ソウル市や韓国政府が前もって古い下水管を交換していなかったのが大きな原因」と指摘している。

■大雨でもないのにシンクホールが大量発生

 2日に降った雨で真っ先にシンクホールができたのは、ソウル市江南区三成洞の地下鉄9号線三成中央駅付近。警察および消防当局によると、2日午後9時49分ごろ、三成中央駅2番出口前の片道4車線の道路にシンクホールが発生し、走っていた乗用車の助手席側前輪がシンクホールに落ちた。また、このシンクホールの周辺で、深さ50センチから1.3メートルに達する大小合わせて5つのシンクホールが新たに発見された。ほぼ同じ時刻、芦原区中渓洞の竜洞小学校前でも、片道2車線の道路の1車線で、縦横1メートル、深さ50センチのシンクホールが発生した。3日午後には西大門区新村一帯で、路面が縦横20センチにわたって約10センチ沈み込んだ。この場所では、先月29日にもシンクホールが発生していた。

■ソウルの下水管、30%は50年以上経過

 ソウル市や専門家らは、地下に埋設された古い下水管が、こうしたシンクホール発生の主な原因と分析している。下水の中のさまざまな物質が原因で、下水管や接合部は少しずつ腐食していき、腐食でできた穴から水が漏れる。この水が下水管の周りの土を押し流したり、管の中に土が流れ込んだりするせいで、地中の空洞は少しずつ大きくなっていく。この地中の空洞の上にある土や地表面が、ある日、地上の衝撃で崩れ落ちると、シンクホールになるのだ。

 問題は、ソウル市内の地下にある古い下水管は総延長およそ3000キロに達するという点だ。ソウル市によると、市内の地下には長さ約1万キロの下水管が埋設されており、このうち30%にあたる約3000キロは50年前に埋められたものだ。学界では、下水管が設置されてから50年以上経つと、新たに設置された下水管に比べ、「周辺道路の陥没の危険」は14倍も高くなるとみている。ソウル大学建設環境工学部の鄭忠基(チョン・チュンギ)教授は「問題を予想して前もって古い下水管を交換すべきだった。ソウル市や韓国政府が、福祉などを強調する一方で、土木や安全の分野に関心を払わなかったからだ」と語った。

 ソウル市は今年から4年かけて、50年以上経過した下水管の30%程度にあたる932キロの区間だけでも交換し、シンクホールの発生を減らそうという計画を立てた。このためには事業費が毎年2300億ウォン(現在のレートで約252億円、以下同じ)以上必要だが、ソウル市の予算だけでまかなうには、毎年1000億ウォン(約110億円)程度不足してしまうのが実情だ。

 老朽下水管を交換したり地下鉄工事などで場下水管を移設したりする過程で、自治体や韓国政府による管理・監督がおろそかだったことも、シンクホール発生の原因だという指摘もある。中央大学建設環境工学科の呉在一(オ・ジェイル)教授は「ソウル市は、ほかの都市に比べ地下鉄・電気・ガス関連の地下埋設物が多いので、工事があるたび、市はもっと注意深く管理・監督すべき」と語った。

郭彰烈(クァク・チャンリョル)記者 , ホン・ジュンギ記者
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