乱射男に日本刀所持許可、ずさんな管理体制が浮き彫りに

身体検査書の代わりに運転免許証のコピーを提出
使用目的は「練習用」

 予備軍の射撃訓練中に銃を乱射し、5人を死傷させた男(23)が、事件発生の約10日前に警察署で、日本刀の真剣の所持の許可を受けていたことが判明し、当局の刀剣の管理に隙があったと指摘する声が出ている。

 男は今月1日、ソウル松坡警察署に出向き、全長101センチ、刃渡り72センチの中国製の日本刀(真剣)の所持の許可を受けた。このような情報が伝わるや、男の隣人たちは「男は普段から上半身裸で歩き回り、大声を上げるなど、異常な行動を取っていたが、日本刀まで持っていたとは、考えただけでひやひやする」という反応を示した。男は軍当局が公開した遺書で、他人に対する無差別的な殺意をほのめかした。男が今回の事件を起こさなかったとしても、不特定多数を狙って刃物による通り魔事件を起こしていた可能性があったというわけだ。

 このような男に対し、警察はいかにして、日本刀の所持を許可したのだろうか。男の隣人たちは、男が普段から近所で騒ぎを起こし、住民の通報で警察が出動したこともあったと証言している。

 これに対し警察の関係者は「刀剣の所持許可に関する規定があまりにも緩いためだ」と話した。刀剣とは「銃砲刀剣火薬類等取締法」により、刃渡り15センチ以上の刀、剣、槍など、凶器として使用される恐れがあるものを指す。だが、所持の許可を受ける手続きは、身体検査書と証明写真、刀剣の出所を証明する書類さえあれば可能だ。

 このうち身体検査書は、運転免許証のコピーで代用することができる。警察によると、男も運転免許証のコピーを提出したという。男の兄は事件後「弟は軍隊を除隊した後、精神科の治療を受けた」と話した。だが、警察の関係者は「銃砲類は所持の許可を申請する際に警察が個人情報利用同意書を提出させ、申請者の精神疾患の治療経歴を確認しているが、刀剣類についてはそのような手続きがない」と語った。

 刀剣の出所を証明する手続きも隙があった。警察によると、男は「師匠からもらった練習用の刀」とし、使用目的も「練習用」と記載したという。その後警察は、刀を渡したとされる人に電話をかけ「(剣道を)教えようとした」との返答を得たとのことだ。だが、この人が実際に資格を有する剣道の師範なのかどうかは確認できなかったという。警察の関係者は「剣道と関係のない人物が師範を自称し、刀剣を渡したり、売ったりしたとしても、それを確かめるのは困難だ」と説明した。

 当局の刀剣所持の許可の手続きに、このように隙があったのは「銃砲に比べ殺傷力が弱い上、飾り物にするケースが多い」という認識があるためだ、と専門家たちは指摘した。

 だが、2000年7月には、海東剣道(木刀と真剣を使用する韓国の武道)の師範が、ソウル市内の路上で、居合わせた人が自分をけなしたと勘違いし、持っていた剣で4回切り付け、被害者に体の一部を切断する重傷を負わせる事件も発生しており、刀剣の殺傷力は銃砲に劣ることはない。

 建国大学警察学科のイ・ウンヒョク教授は「刀剣の所持許可の審査を厳格化し、許可に関する監督の手続きを強化する必要がある」と指摘した。

ムン・ヒョンウン記者
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