【コラム】韓国に今なお存在する日本軍国主義の残滓

【コラム】韓国に今なお存在する日本軍国主義の残滓

 日本の初代首相を務めた伊藤博文は1887年、当時小学生だった皇太子にかばんを一つ贈った。帝国主義日本陸軍の歩兵が背負っていたかばんを模した、ランドセルだった。この皇太子は、およそ20年後、大正天皇(在位1912-26)になった。ランドセルの由来は、日本軍国主義の精神を小学生に教えるところから来ているわけだ。日本のあるバラエティー番組では、革で作った丈夫なランドセルの横に付いている、靴の袋を提げるための環が、もともとは手りゅう弾をつるすためのものだったと説明していた。2015年の今も、日本の小学生はランドセルを背負って学校に通っている。ランドセルを背負った日本の子どもたちを見るたび、軍国主義が重なって見えてどうにも困る。

 こんなランドセルが、SKテレコムのテレビコマーシャルに登場した。SKテレコムは、子どもが手首に付ける小型スマートフォン(多機能携帯電話端末)「キッズフォン」を宣伝するコマーシャルの中で、子役がランドセルを背負って出てくる場面を映し出した。ランドセルをコマーシャルに出した理由は単純だ。ランドセルが、このごろ小学生の間で最も人気あるアイテムだと判断し、そのイメージをキッズフォンに重ねようとしたのだ。SKテレコムのキッズフォンは、教育熱が高い地域の母親によく売れる人気商品になった。

 日本が誇る伝統文化にしてユネスコ(国連教育科学文化機関)が指定する世界無形文化遺産でもある歌舞伎は、一時、公演禁止で廃止の瀬戸際にまで追い詰められたことがあった。70年前、日本が第2次大戦で米国に敗れた後、占領軍としてやって来たマッカーサー元帥が、軍国主義の残滓を一掃するという観点から下した措置だった。「日本の美意識の精髄」だった歌舞伎さえ、マッカーサーの目には軍国主義の精髄みなぎる演劇と映ったのだ。2年後に解禁された歌舞伎は、高度経済成長期やバブル期を経て再び最高の人気を博するようになったが、最近では徐々に若者の関心の外に追いやられつつある。

 今では日本のドラマにほとんど登場しない歌舞伎の用語が、KBS放送の人気ドラマに出てきた。KBSの金・土ドラマ『プロデューサー』で、主人公が何度も「さんまい」「にまい」という言葉を口にしたため、意味が気になった視聴者がNAVERに質問を書き込んだ。さんまいは「三枚目」、にまいは「二枚目」という歌舞伎用語から来ていた。歌舞伎の舞台の横には、主な俳優8人の名前が掲げられる。2枚目には美男役の男優の名前、3枚目には道化役の俳優の名前が書かれた。KBSの制作陣は、テレビ放送局が背景になっているドラマの現場の雰囲気を生かそうと考えて、こういう単語を使ったのだろう。

 韓国の若者の傍らには、まだこのように、韓国人が知らない日本軍国主義の残滓がある。SKテレコムがランドセルの由来を知ったら、テレビの画面に日本軍国主義の象徴を映すことはなかっただろう。2カ月後には、光復(日本の植民地支配からの解放)70周年を迎える。日本と日本人の軍国主義について、韓国人が何を知らずにいるのか、一度考えてみるのはどうだろう。例えば、第2次大戦のA級戦犯として死刑になった東条英機元首相が、日本の法律では「戦犯」に分類されていない、というようなことを。

成好哲(ソン・ホチョル)産業第2部記者
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