【寄稿】南極・北極の「科学領土」拡張に邁進しよう

【寄稿】南極・北極の「科学領土」拡張に邁進しよう

 韓国初の極地調査・研究用砕氷船「アラオン号」で最近、意義深い行事が行われた。韓国政府が北極理事会に加入してから2周年を迎えたのを記念し、理事国8カ国とオブザーバー国12カ国の関係者を招き、北極に関する韓国の研究の現況を紹介する場を設けたのだ。北極理事会は、北極圏に領土を有する8カ国による協議組織で、韓国は2013年5月、永久オブザーバー国の地位を得た。行事が行われたアラオン号は現在、韓国で1隻しかない研究用砕氷船だ。韓国の極地研究の象徴といえるが、それだけに依存度が高く、ひとたび故障すれば研究計画に支障が生じざるを得ない。

 極地は人類にとって最後の未開拓の領域とされる。南極には原油や希土類元素(レアアース)など、人類が100年以上使用できるだけの資源が眠っていると推定されている。北極もまた、氷が解けて新たな海の道ができたことで、世界各国の「コールドラッシュ」のさなかにある。距離や時間を大幅に短縮する新航路も魅力的だが、さまざまな資源が豊富で、研究価値も高く、新たな「海のシルクロード」として評価されている。

 極地に進出するためには、国家レベルの支援が必要となる。経済的・科学的な潜在力は無尽蔵にあるが、現実的に民間の投資がほぼ不可能な領域だからだ。北極は所有権がはっきりしているため、北極理事会を中心とした北極圏の国との協力が欠かせない。南極も2048年以降を見据えた、目に見えない領有権争いが繰り広げられている。南極条約が期限を迎えるのに備え、科学研究を掲げた世界各国の南極への進出が次第に激しさを増しているからだ。

 当然ながら、ここで目に付くのが中国の動きだ。中国は1985年の長城基地開設を皮切りに南極観測基地の増設を進め、昨年には4カ所目の泰山基地を開設した。さらに現在、5カ所目の基地建設を準備しているとされ、完成すると、南極観測部門で世界4大国に匹敵する規模を有することになる。

 資源小国の韓国にとって、極地が有する将来の資源を逃すわけにはいかない。これまでの研究範囲を拡大しながら、長い目で将来に向けた準備をしていかなければならない。極地は気候変動だけでなく、生物学や天文学、地球物理学、さらには宇宙に至るまで、研究範囲の制約がない巨大な科学実験場だ。産学連携の専門家たちが共に、極地研究の活性化に向けた方策を模索し、融合型研究を通じて、極地での科学面の領土を拡大するため力を合わせることが急務だ。数万年もの間凍結していた凍土で、後世に残せるだけの輝かしい遺産を見つけるべき時だ。

イ・サンチョン国家科学技術研究会理事長
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