U17サッカー・ワールドカップ準々決勝の韓国対ベルギー戦。韓国がPKを獲得し、エースのイ・スンウ(17)がベルギーのゴールキーパー(GK)、ヤンス・トインケンスの前に立った。ボールを置いたイ・スンウは5歩後ろに歩いた。すると相手GKはイ・スンウが見詰める方向に右手を指した。自分はこちらに跳ぶ、というメッセージだ。明らかな心理戦だ。
イ・スンウはシュートの動作に入ると一瞬立ち止まった。相手GKのタイミングを外すためだ。イ・スンウは足首が強く通常のPKも得意だが、今回のようにGKのタイミングを外すため一歩タイミングをずらすこともよくやる。イタリアのバロテッリ(リバプール)やポルトガルのクリスチアーノ・ロナウド(レアル・マドリード)など、世界の超一流選手もよくやるスタイルだ。
しかしU17韓国代表でPKの成功率が最も高いイ・スンウは、相手GKのタイミングを外すどころか、相手に操られるようにGKが示した方向にボールを蹴った。絶好のチャンスを生かせなかったイ・スンウはその場に崩れた。
同徳女子大学体育学科でスポーツ心理学を教えるイ・ヨンヒョン教授は、このPK失敗を「窒息」を意味する「チョーキング」と説明する。心理的プレッシャーが非常に高い状況で、首が絞められるような感覚になる状態をチョーキングという。チョーキングに見舞われると一流のプレーヤーでもパフォーマンスは一気に低下し、初心者のようなミスをやってしまう。
イ教授は「PKのようにプレッシャーがきつい状況で確実にシュートを決めるため、相手GKをだましたい思いが強くなったようだ」「そうなると普段から練習してきたルーティンが崩れ、ペースが乱れてタイミングもずれる」と語る。非常に高い能力を持つ選手でも、チョーキングに見舞われると普段のパフォーマンスは維持できない。イ教授は「その選手がチームのエースであれば、結果に責任を感じてより大きなプレッシャーを感じる」とも指摘した。