TPP:韓米FTAの実益縮小、日本と競争する韓国企業に被害

 原材料、副資材の輸出も不利になる。TPPには参加国で生産した原材料を自国産と認定し、特恵関税を適用する「累積原産地規定」がある。韓国がTPPに加入しなければ、同規定の適用を受けられず、価格競争力の面で日本に押される。繊維、アパレル産業では空洞化懸念も出ている。累積原産地規定が適用されるベトナムなどに工場を移転しなければ、米国や日本に輸出する場合に関税引き下げの恩恵にあずかれないからだ。

■最大の難関はコメ市場開放

 韓国がTPPに加入する場合、最大の難関はコメなど農産物の市場開放だ。崔炳鎰(チェ・ビョンイル)梨花女子大国際大学院教授は「創設時の参加国である日本までもが開放している状況で、後から加入申請をする韓国が国内農産物市場を開放しないといって持ちこたえるのは困難だろう」と指摘した。

 健康保険財政にも打撃が予想される。TPPには製薬大国である米国の主張により、バイオ新薬の特許保護機関を8年と規定した。韓米FTAが定める5年よりも長い。TPP加入交渉で米国が8年の要求を押し通せば、韓国市場でジェネリック医薬品(後発医薬品)の発売時期が遅れ、薬価が上昇する可能性がある。

 韓国貿易協会のパク・チョンイル通商研究室長は「TPP加入は輸出主体の韓国の産業全般にとって有利だが、自動車産業は日本車の輸入拡大による被害が予想される」と述べた。日本車に対する輸入関税(8%)が撤廃されるためだ。

李仁烈(イ・インヨル)記者 , 崔賢黙(チェ・ヒョンムク)記者
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