【寄稿】朴裕河教授の起訴に抗議した真意

 慰安婦の多様な実態を明かした著者は「日本軍によって無理やり連れ去られ、性奴隷にされた少女」という極端なイメージにとらわれることが問題解決を妨げる一因だと主張した。そんなイメージに合わなければ救済に値しないかのような考え方こそ問題だというのだ。また、日本の国家責任は法的には問えないという著者の見解には異論があってよいが、では多くの女性をだまして集めた業者の責任は全くないと言えるのだろうか。私たちが朴教授を評価するのは自分たちの姿も直視するからであり、決して日本の免責を望んでいるからではない。

 私たちへの批判声明には、日本が一切の責任を否定してきたような記述があるが、これも心外だ。「アジア女性基金」は国民募金による「償い金」(1人200万円)のほか、政府も「医療・福祉支援金」(1人300万円)を出してきた。総理大臣の「お詫び」の手紙もつけた。これでは不十分だといのならともかく、韓国でも約60人がこのお金と手紙を受け取っているのに、そうした事実さえ全く無視しているのは公平でない。

 私たちは慰安婦問題の建設的な議論を願っている。幸い、批判声明は朴教授の刑事的断罪は不適切だとしているが、それなら公開討論を提案する前に、まず告訴の取り下げを働きかけ、静かな環境を作っていただけないだろうか。

若宮啓文(元朝日新聞主筆)
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