老母のために井戸掘り、49歳息子が生き埋めに /光州

老母のために井戸掘り、49歳息子が生き埋めに /光州

 韓国南西部の光州市に暮らすAさん(49)は15日、妻と息子(26)を連れて隣の自治体の全羅南道和順郡に住む母親(76)宅へ向かった。

 小型トラックの運転をしているAさんは、日ごろからしばしば一人暮らしの母親のもとを訪れていた。昨年夏に父親が亡くなってからは、ほぼ毎週1-2回ずつ赴き、老母の面倒を見ていた。

 この週末は古びた屋根を修理し、畑仕事用の水を確保するため、はるか昔に埋め立てた庭の井戸を掘り返すつもりだった。以前に土を掘って取り付けた水栓から水があまり出なくなり、深い井戸を掘ろうと思ったのだ。16日、屋根の修理を終えたAさんは、午後4時ごろから井戸があった玄関前の庭を掘り始めた。母親は「井戸がなくても構わないからやめなさい」と必死に止めたが、Aさんは「干ばつのときに畑に水をやるのに必要だから」と耳を貸さなかった。

 Aさんはシャベルとつるはしだけで穴を掘り進めていった。息子は掘り出した土を運び、父と一緒に深夜まで作業を続けた。翌日午前3時ごろ、穴の深さが3メートルほどに達したころだった。穴の底に少しずつ水が溜まり始めた。「もう少しだけ掘ればいいだろう」と思い、一生懸命シャベルを動かしていたAさんの頭上に突然、穴の両側の土がどっと落ちてきた。Aさんは一瞬のうちに土に埋もれた。

 妻はレスキュー隊に救助を要請し、息子は慌てて土を掘り父を助け出そうとしたものの、土砂が次々に崩れ落ち、どうすることもできなかった。レスキュー隊員と地元住民がショベルカーなどを使って2時間後に救助したが、Aさんはすでに息絶えていた。警察は、砂成分の多い現場の土が突然崩れ、生き埋めになったとみている。

 3男1女の末っ子で、日ごろから親の面倒をよくみていたAさんの死に、地元住民は「優しくてまじめな孝行息子にどうしてこんなことが起こったのか」と嘆き悲しんだ。

光州=金性鉉(キム・ソンヒョン)記者
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