「リベラル」なのに北人権法に反対、韓国野党に国民の厳しい目

北朝鮮人権法案は成立するのか
野党内でも意見が分かれる
「リベラルを掲げながら人権から顔を背けられない」

 韓国はこれまで北朝鮮の人権問題では直接の当事国でありながら、今なお北朝鮮人権法を成立させることができず、国内外からさまざまな批判を受けてきた。

 北朝鮮人権法を先に成立させたのは韓国ではなく米国と日本だった。米国は2004年、日本は06年に北朝鮮の人権問題解決に向けて活動する団体への支援を定める独自の北朝鮮人権法を成立させた。ところが韓国の政界はこれら海外の動きに刺激を受けるどころか、逆に成立反対に向けた活動を展開したことさえある。04年に米国が北朝鮮人権法を成立させた時は、当時与党だったヨルリン・ウリ党(共に民主党の前身)の一部議員らが「北朝鮮人権法は行き過ぎた内政干渉」という趣旨の手紙を駐韓米国大使館に送ったこともある。国連は05年以降、毎年北朝鮮に対して人権侵害を批判し、その改善を求める「北朝鮮人権決議案」を採択し続けている。

 韓国の国会では2005年、当時の野党ハンナラ党(現在の与党セヌリ党)の金文洙(キム・ムンス)議員が初めて北朝鮮人権法案を国会に提出。その後17代国会(任期2004-08)で3回、18代国会(2008-12)では5回提出されたが、審議が進まず廃案となった。いずれもかつてのヨルリン・ウリ党、民主党など現在の野党系列が「内政干渉」「北朝鮮へのビラ散布支援法」などと批判し、法案の提出や審議そのものに反対してきたからだ。現在の野党はその後も独自の北朝鮮人権法案を提出したが、その主な内容は北朝鮮の人権問題改善よりも、北朝鮮への支援に重点を置くものだった。12年には当時の野党・民主統合党代表が北朝鮮人権法を「内政干渉であり外交欠礼」などと強く反対したこともある。

 ところが現在の第19代国会(2012-16)に入ると、野党内部でも北朝鮮人権法の必要性を訴える声が出始めた。人権を重視するはずのリベラル政党が、北朝鮮の人権問題から顔を背けることへの疑問の声が国民の間で出始めたからだ。例えば新政治民主連合(現在の共に民主党)の時代、禹潤根(ウ・ユングン)院内代表が北朝鮮人権法成立の必要性に言及し、2014年12月には与野党が初めて独自の北朝鮮人権法案を提出している。現在の文在寅(ムン・ジェイン)代表も就任直後から北朝鮮人権法成立の可能性について言及し、最近は安哲秀(アン・チョルス)議員の国民の党が共に民主党よりも成立に積極的な姿勢を示すことで、この問題で独自の方向性を示している。野党のある関係者も「普遍的価値である人権問題から無条件に顔を背けることはできない」とコメントしている。

鄭佑相(チョン・ウサン)記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
あわせて読みたい