【社説】陰謀論で有罪、シン・サンチョル氏は遺族に土下座せよ

 ソウル中央地裁は25日、2010年に北朝鮮による魚雷攻撃で哨戒艦「天安」が沈没した事件について「沈没は韓国政府による陰謀」などと主張し、名誉毀損(きそん)で起訴されていたシン・サンチョル氏に懲役8カ月、執行猶予2年の有罪を宣告した。裁判長は天安沈没について「北朝鮮の魚雷攻撃によるもの」と確認し、座礁説などシン氏の主張は全て虚偽と断言した。裁判長はさらに「沈没原因を捏造(ねつぞう)し、(乗組員の)救助を遅らせた」「国防長官が証拠を隠滅した」とするシン氏による一連の主張に対しても「意図的な誹謗(ひぼう)中傷」として有罪を宣告した。しかしそれ以外の主張については「誹謗中傷の意図はなかった」との理由で無罪とした。

 故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領を強く支持するインターネットメディア「サプライズ」の代表だったシン氏は、2010年に事件が起こった直後、当時の民主党(現在の共に民主党)の推薦で、沈没原因を調べる合同調査チームに民間の委員として参加していた。ところが調査が始まってからわずか1日で「全てが(韓国軍による)捏造であることが分かった」として調査チームを離脱し、その後は執拗(しつよう)に陰謀論を叫び続けた。例えば「西海(黄海)で発見された魚雷に東海(日本海)にしか生息していないホヤが付着していた」と主張したり、あるいは魚雷に記載されていた「1番」という文字について「韓国で書き込まれたようだ」などと何の根拠もなく言い出した。その後、彼の主張は左翼団体や野党により大きく宣伝され、結果的に国と社会全体に大きな波紋と分裂をもたらした。しかし事件から5年が過ぎた昨年3月、当時の野党だった新政治民主連合の文在寅(ムン・ジェイン)代表も最終的に「沈没は北朝鮮の仕業だった」と認めた。

 裁判長は「シン氏が過ちを認めないため、罪は決して軽くない」と指摘したものの、審理から判決に至るプロセスにはさまざまな面で不満が残るものとなった。例えば起訴から今回の一審判決まで5年5カ月という予想以上の長い時間を要し、また裁判長も6回交代した。証人申請が非常に多かったのは事実だが、それでも事実関係がほぼ明らかになったにもかかわらず、ここまで裁判を長引かせる必要があったのかも疑問だ。裁判官らが審理を押し付け合った感もどうしても拭い切れない。

 天安沈没から8カ月後、北朝鮮が延坪島に砲撃を加えた後もシン氏は引き続き陰謀論を主張し続けた。裁判中は天安の残骸を目の当たりにするその場でも座礁説を主張した。天安の沈没で46人の韓国軍将兵が貴い命を失った。シン氏はまず犠牲となった将兵と遺族らの前で膝を突いて謝罪すべきだ。それが人間として最低限の道理ではないか。

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