【社説】韓国の高齢者貧困率49.6%、他人事ではない老後破産

 ソウル中央地裁が破産宣告を受けた者の年齢分布について調べたところ、今年1-2月に破産宣告を受けた1727人のうち、60代以上の高齢者が428人、率にすると24.8%に達していたことがわかった。悠々自適の老後を過ごすべき社会の先輩たちの多くが、借金の返済能力がないいわゆる「老後破産」に追い込まれている実態が明らかになったのだ。

 韓国における65歳以上の高齢者の貧困率は49.6%で、これは経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で1位だ。また別の統計によると、60歳以上の5世帯に1世帯がここ3年の間に貧困状態に陥ったというデータもある。老後に向けて貯蓄などの備えをしておくべき40-50代の時に、子供の教育費や結婚費用などを負担せざるを得ず、最終的に蓄えがないまま老後を迎えてしまうケースが非常に多いことがわかる。経済面での貧困は高齢者の自殺率にも表れている。韓国における高齢者自殺率は10万人あたり55.5人で、これもOECD加盟国の中では圧倒的1位だ。

 つい先日、日本のNHKにより報じられた老後破産の実態は、われわれにとっても大きな衝撃だった。日本では一人で生活するいわゆる「独居老人」が600万人に達しており、そのうち200万人は衣食住の全てにおいて自立能力を失い、破産状態で生活しているという。また公的年金だけに依存して生活する高齢者世帯が、配偶者の病気などで支出が突然増え、何の手立てもないまま破産に追い込まれるケースも非常に多いという。韓国は日本以上に高齢化が急速に進んでいるため、日本の現状はまさにわれわれの近い将来の姿に他ならない。

 老後破産を防ぐには、まず高齢者のための公的年金制度の拡充が必要だ。それには国民年金の加入条件を今よりも緩和し、専業主婦や非正規職、日雇い労働者など、年金の恩恵が受けられない人たちも年金が受給できるようにしなければならない。現時点でわずか1%しか利用していない住宅年金(住宅を担保とする年金)の加入対象も広げるべきだろう。

 高齢者福祉についてはただ支援するというやり方ではなく、実際に生活を営むことができない低所得層にまずは目を向けるといった政策の転換も必要だ。保険社会研究院によると、高齢者のうち所得が下位20-30%は絶対貧困状態に置かれているという。現在、高齢者の70%に毎月10-20万ウォン(約9600-1万3000円)が基礎年金から一括支給されているが、その対象者を少しずつ狭める一方で、支給額を最低生活費の月64万ウォン(約6万2000円)に近い水準にまで引き上げることも検討すべきだろう。

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