三菱とVWの不正、共通点は「ノー」と言えない企業体質

 2012年、三菱自動車がピンチに陥った。経営陣が「競合他社よりも燃費が5-10%さらにいい軽自動車を来年までに作れ」と至上命令を出したためだった。当時、日本では小さくて燃費がいい軽自動車が全自動車販売トップ10の中で7-8車種を占めるほど人気だった。ところが、トップ10に入った軽自動車はすべてライバルメーカーのスズキとダイハツの車種だけだった。三菱の軽自動車は、これらの軽自動車より燃費が悪く、販売が振るわなかった。

 開発チームが経営陣の命令に従うのは無理だった。燃費を向上させるには長期間にわたり多くの資金と人材を投入しなければならないが、競合他社よりも低い能力しかなく、たった1年で燃費をよくするのは不可能だった。経営陣はこれを無視したまま、目標達成の期限と数値だけ提示して開発チームに圧力を加えた。

 プレッシャーに耐えきれなかった燃費担当部長は、とうとう燃費関連テストのデータ数値を操作してよく見せる虚偽の数値を出した。燃費が操作された三菱の新型軽自動車は13年に発売された。しかし、三菱から軽自動車の供給を受け、自社ブランド名で販売していた日産がこのほど独自の燃費テストをした結果、異議を申し立てたことから、不正が明らかになった。

 今回の事態の流れを振り返ってみると、三菱は(1)経営陣の無理な目標設定 (2)指示に逆らえない社内の雰囲気と達成に対するプレッシャー (3)不正という3段階のプロセスを経たことが分かる。三菱は2000年と04年にも製造した車の致命的欠陥を隠ぺいし、倒産寸前まで行ったが、この時も同様の過程を経ていた。つまり、三菱は2回の過ちから教訓を得ていなかったことになる。自動車評論家の国沢光宏氏は毎日新聞に「上層部が掲げた目標を達成できず、最後に帳尻を合わそうとして不正に手を染めたのではないか。不正を認識した社員が指摘できなかった企業体質も問題だ」とした。

崔元碩(チェウォンソク)記者
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