【コラム】海外の倉庫に眠る韓国文化財、返還を求める前にやるべきこと

 逆のケースもある。福井県敦賀の常宮神社には、1952年に日本の国宝に指定された「朝鮮鐘」がある。統一新羅時代の興徳王8年(833年)、慶尚南道晋州の蓮池寺で鋳造された美しい銅鐘だ。壬辰(じんしん)倭乱(文禄・慶長の役)で略奪されたと推定されているが、正確な記録は残っていない。この鐘を取り戻すための返還運動が、ここ数年、晋州を中心に続いている。2012年3月には市民団体数十人が神社を訪れ、「韓国の鐘なので返してほしい」とデモを行った。すると、驚いた神社側は銅鐘を倉庫の中に収めてしまい、現在も公開を拒否している。

 海外にある相当数の韓国文化財が、倉庫でほこりをかぶっている。16年の時点で、海外に持ち出された韓国の文化財は、確認されただけでも約16万点。このうち半分近くの約7万点が日本にある。日本国内の博物館・図書館・寺院や個人所蔵の形で散在しているこれらの遺物のうち、実態調査が完了しているのは40%にもならない。韓国に取り戻すのが最善だろうが、それができないなら、日の当たる場所に出すべきだろう。無条件に「出せ」と要求すればするほど、遺物は奥深くへと隠される。韓国文化財を所蔵している人々が、おじけづくことなく思う存分公開できる雰囲気をつくり上げるべきだ。取りあえず日の当たる場所に出し、実態調査を通して、違法な持ち出しが確認された場合には適法な手続きを経て取り戻しを推進するというのが筋だ。それが不可能な遺物は、現地であっても積極的に活用する方がいい。

許允僖(ホ・ユンヒ)文化部記者
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