読者の意見:対馬の高麗仏像は直ちに返還すべき

 先月日本の対馬に旅行に行ったところ、現地で生活する韓国人たちが深刻に懸念している問題のあることを知った。

 2012年10月に対馬で韓国人が盗んでいった2体の仏像のうち、1体が3年半以上にわたり返還されず、逆に韓国で「日本が略奪していった」などと主張する声が出た影響で、両国国民の間の感情的なしこりが今なお解消されないのだ。問題の発端は、その仏像の中から「高麗国瑞山浮石寺で製作された」という記録が見つかり、それを受けて韓国の一部研究者が「500年以上前に倭寇(わこう)が略奪していった」と主張したことがきっかけになった。

 浮石寺はこの主張を根拠に、対馬の観音寺に「仏像を入手した経緯の究明」を要求し、韓国政府に対しては仏像を返還させないため「有体動産占有移転仮処分申請」を提出した。これを受けて韓国の裁判所は「対馬の観音寺が仏像を正当に入手したことが確認されるまでは返還しなくてもよい」という趣旨の判決を出した。その結果、日本では嫌韓感情が高まり、対馬現地に住む在日韓国人の生活にも悪影響が出ているのはもちろん、外交でも摩擦が強まることが懸念されている。

 さらに仮処分で定められた期限の今年2月25日が過ぎた後も、浮石寺は仏像を返還させないため再び引き渡し中止を求める訴訟を起こし、仏像の返還がさらに先送りになった。その影響で対馬の日本人の反韓感情は一層深刻になっているようだ。

 これらの経緯を全体的に見ると、裁判所の判断も浮石寺の対応もいずれも問題があると思われる。その仏像が違法な形で日本に来たのか、あるいは正当に来たのか、記録だけでは分からないのが実情だ。500年前に起こった出来事について、明確な証拠もなしに「略奪された」などと決め付けてしまうのは当然非理性的な行動と映るだろう。このような論理を認めるなら、世界に散らばる韓国の文化遺産について、各国がその正当な取得の経緯を証明できなければ盗んできてもよいということになる。両国国民の感情を悪化させるこのような主張や対応は、法治国家である大韓民国の格を自らおとしめる結果を招くはずだ。

 対馬は昔から韓国人も多く住む地であり、そこに高麗の仏像があってはならない理由などない。しかも劣悪な環境に放置されていたわけでもなく、対馬の人たちの信仰を集める仏像本来の役割も果たしてきたのだ。

 そのため裁判所は取りあえずこの仏像を返還させるべきではないだろうか。韓国の文化財はどれも非常に貴重なものだ。しかし確認もできない過去の問題にいちゃもんをつけ、何の意味もない摩擦を自分から起こすべきではないのだ。

ノ・オクサンさん(釜山市水営区)
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