居眠り幹部を処刑した金正恩氏、最高人民会議で居眠り

　北朝鮮の金正恩（キム・ジョンウン）朝鮮労働党委員長が、先月29日に開かれた最高人民会議（国会に相当）の最中にひな壇で居眠りをしている姿がとらえられた。

　朝鮮中央テレビが同日放送した25分間の録画中継で、金委員長は机の上の資料を1－2ページめくった後、目を閉じて5秒ほど動きを止め、首をわずかに揺らしてうとうとしている様子を見せた。そこで急にカメラアングルが客席に切り替わったが、編集ミスでこの場面が流れたようだ。金委員長はこの日の最高人民会議で、国防委員会に代わり新設された最高権力機関、国務委員会の委員長に就任した。

　北朝鮮の事情に詳しい消息筋は「金委員長は明け方まで酒を楽しむとうわさされており、会議の前にも酒を飲みすぎた可能性がある」と話している。

　金委員長は5月、平壌で故・金正日（キム・ジョンイル）総書記の元専属料理人、藤本健二氏（仮名）と会った際「一晩でボルドーワインを10本も飲んだ」と話したという。党幹部らは金委員長の飲みすぎを心配しながらも、酒を控えるようにとはなかなか言えないようだ。

　だが、金委員長以外の幹部が会議の席上で居眠りをしたり「不敬」な態度を見せたりしたら、命が危うくなる。韓国情報機関の国家情報院は、金委員長が昨年4月、自身が開いた会議で居眠りをしたことや指示に服従しなかったことなどを理由に当時の玄永哲（ヒョン・ヨンチョル）人民武力部長（国防相）を公開処刑したと報告している。また、2013年12月に処刑された金委員長の叔父、張成沢（チャン・ソンテク）元国防副委員長の罪状には「おざなりに拍手をした」という文言も含まれていた。