【コラム】中国の顔色うかがう「属国」にはなりたくない

 西ドイツでは次にコール首相による右派連立政権が発足した。コール首相は就任1年後に米国の核ミサイル配備を受け入れた。コール首相は「核ミサイル配備をはじめなければ、米国との関係が打撃を受けたであろうし、西側陣営の連帯は瓦解していたかもしれない」と振り返った。西ドイツの核ミサイル配備はソ連に圧力となり、1987年に中距離核戦力全廃条約の締結にこぎ着けた。それは冷戦終結に向けた信号弾であり、ドイツ統一と共産帝国ソ連の崩壊へとつながった。

 コール首相は当時こう総括した。「徐々に多くの人が歴史の長い呼吸を失いつつある。長い歴史的な視点ではなく、現実にばかり縛られる世界観に満足した。そのため、自由や人権といった民主主義的な共通の価値観という問題で混乱を来し、米ソを同一視する見方が生じた。それは経済的、外交的な危機だけでなく、精神的、道徳的な危機でもあった」

 南シナ海で米中の覇権争いにより新たな冷戦の構図が形成されている。終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備をめぐる対立はその一部分かもしれない。普段は外交的、経済的な損得を判断すべきだが、決定的な瞬間にどちらの価値観、陣営に属するかは国の運命を決定づける。最近の中国は「強い者には従え」的な態度を示しているが、果たして大国の器かどうか疑問だ。韓米同盟がなければ、韓国がこれまで中国に対し持ちこたえられただろうか。韓国は「属国」のように扱われ、中国の顔色をうかがいながら過ごすことを望まない。

崔普植(チェ・ボシク)上級記者
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