【コラム】状況に合わせた進化ができない現代自労組 

【コラム】状況に合わせた進化ができない現代自労組 

 世界最大のスーパーチェーン「ウォルマート」と労働組合には共通点がある。さまざまな見方はあるが「集団の力でより良い取引条件を引き出す組織」という点は同じだと思う。ウォルマートは多くの店舗を通じ、点として存在する消費者の購買力を一気に集約し、卸業者から安く商品を仕入れることで売り上げと収益を確保してきた。労働組合も一人一人の労働者を集め、会社を相手に高い賃金を要求(取引)するという点では共通している。

 このような話を出した理由は、労働組合の危機について改めて取り上げたいと思ったからだ。今月14日、現代自動車労組は来年の賃金交渉を何とか合意にこぎ着けた。交渉過程においては今年も例年と同じくストが検討され、それによる損失は3兆1000億ウォン(約2830億円)、下請けの損失を含めれば4兆ウォン(約3700億円)を上回ると試算された。ところが今回は組合側の要求を会社側はほとんど受け入れなかった。以前なら「ストで4兆ウォンを無駄にするよりも、数百億ウォン(数十億円)を組合にやってしまおう」と考えたはずだ。しかし今回は違った。韓国の労働運動を過激にしたのは、組合の無理な要求を聞き続けた現代自の責任とよく言われるが、今回現代自が突然態度を変えた理由は何か。

 その最も大きな理由とされるのが「産業パラダイムの変化」だ。言い換えれば「安定した大量生産と独占・寡占の仕組み」が崩壊しつつあるということだ。これまで現代自のような寡占企業は楽して巨額の収益を得てきたため、組合の無理な賃金引き上げ要求も吸収し、あるいは商品価格の引き上げなどで持ちこたえてきた。ところがそのような対応はもうできなくなった。世界の自動車市場では技術が平準化し、無限の価格競争が続く際限のないジャングルになってしまった。このような競争の激化は必然的にこれまでの体制や仕組みに対する見直しを迫る。すでに現代自は中国市場で高価格を理由に販売不振に陥り、韓国でも価格が高いとの理由で販売が減少しているという。しかしそれ以上に変化しているのは車を買う顧客の考え方だ。国民は労働者の高い賃金が車の価格に跳ね返っていることを知るようになったため、「現代の車はもう買いたくない」という声がすでに出始めているのだ。

産業1部=李仁烈(イ・インヨル)次長
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