【社説】ソウル市教育監は新しい国定歴史教科書をきちんと読んだのか

 ソウル市のチョ・ヒヨン教育監(教育委員会の教育長に相当)が30日、ソウル市内の中学校18校の校長を呼び、これらの学校が新しい国定教科書を来年3月から1年生に使用するとしていた歴史の授業をしないよう促したという。校長らは予定していた歴史科目の時間割を取り消すことにした。しかも、高校でも同様のことが起こると見られている。

 教育部(省に相当)は新しい歴史教科書について「12月23日までに国民の意見を集約して決定する」としている。こうした状況で、教育監が確定もしていない教科書の使用を先送りするよう促すのは、学校の教育課程編成権や教科書選択権を棄損するものだ。チョ教育監は昨年、政府予算で558校に「親日人名辞典」を配布、「保守系であれ進歩系であれさまざまな観点の本が図書館にはあるべきだと考えたから」と言った人物だ。親日人名辞典とは、韓半島(朝鮮半島)がかつて日本の支配を受けていた時代、日本に協力したとして、左翼系の民族問題研究所が「親日」と見なした4389人について、その行跡などを紹介するため2009年に発行した人名辞典のことだ。そのチョ教育監が新しい歴史教科書については、「検討することすら拒否する」と根本から封じようとしているのは矛盾している。

 だが、その一方では新しい教科書の検討本を「朴槿恵(パク・クネ)教科書」と非難する人々もいる。検討本に1960-70年代の記述が多いのは事実だが、当時の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領だけを特に美化しようとしているとは言えないし、過ちについても述べられている。検討本では、金泳三(キム・ヨンサム)、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)、李明博(イ・ミョンバク)の歴代大統領に関しては否定的な面についての言及がなく、政治的業績だけを記述している。現在多くの高校が使用している検定教科書には、朴正煕元大統領の写真がたった1枚しか掲載されていない。それも、5・16軍事クーデター(1961年)時に軍服を着てサングラスをかけ、ソウル市庁前に立っている姿だ。一方、ほかの大統領たちの写真は、民主化運動時や南北首脳会談時の笑顔など4枚が掲載されている。これが公正でバランスの取れた記述だろうか。チョ教育監は新しい歴史教科書をきちんと読んだのだろうか。これ以上、学校の教科書選択に介入してはならない。

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