【寄稿】韓国小説・ドラマの歴史歪曲は犯罪レベルだ

 例を挙げるとごまんとある。高句麗の将軍・淵蓋蘇文が新羅の将軍キム・ユシンの家で下働きをしていたとか、その時期なら既に老いて死んでいるはずの新羅の女性貴族・美室宮主が依然として美しい姿で登場するとか、実際にはまだ生まれてもいない大祚栄(初代の渤海国王)が淵蓋蘇文の家で召し使いをしていたとかいう設定はただのでっち上げだ。

 こうしたでっち上げの極致は『風の絵師』だ。正真正銘男性の申潤福(シン・ユンボク)を男装の女性にしてしまった。『花郎』でも、若いころの真興王(三麦宗)が同じ年頃の若者と交流し、首都・徐羅伐の内外を走り回っているが、実際には真興王は7歳で即位し、18歳になるまで母親の只召太后が摂政をしていた。また、伽耶史を扱った歴史小説に「韓国では18世紀まで、いかなる車も使ったことがない」という記述が登場したが、全くでたらめだ。あまたの高句麗古墳の壁画に登場する多くの車を、この作家は本当に一度も見たことがないのだろうか。

 こうした基本的な常識にも合わない歴史小説を書かれては困る。本を売り、金を稼ぎ、視聴率を上げたいという商業的な計算を優先して歴史を軽く考える態度は捨てるべきだ。歴史を勝手に歪曲し、でっち上げるのは、無責任を通り越して、正しい歴史教育に逆行する犯罪にほかならない。でたらめな歴史小説や歴史ドラマを作る行為は、読者の籠絡だ。だから、きちんと勉強して書けと強調しているのだ。

ファン・ウォンガプ=小説家・歴史研究家
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