金正男殺害:沈黙の中国政府、「侮辱」と受け止めか

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄に当たる金正男(キム・ジョンウン)氏が暗殺されたとのニュースに対し、中国の反応は分かれた。中国のネットユーザーはインターネットのニュースメディアやソーシャルメディアで伝えられる関連ニュースに大きな関心を見せたが、中国政府と公式メディアは奇妙なほどに沈黙した。北京の外交筋は「北朝鮮の予測不能さに中国政府が戸惑っていることの証だ。北朝鮮のミサイルによる挑発で対応に苦慮している中国は、金正男氏の暗殺という事態まで起きた状況を侮辱と受け止める可能性もある」と述べた。

 中国版ツイッターの微博(ウェイボー)に開設された「金正男殺害」速報アカウントには15日だけで5000万人を超えるネットユーザーのアクセスが殺到した。ネットユーザーは金正恩氏を黒幕と断定して非難した。一方、中国国営中央テレビ(CCTV)は、金正恩氏の名前には言及しないまま、「マレーシアのクアラルンプール国際空港で北朝鮮の男性1人が倒れ、病院に運ばれたが死亡した」と短く伝えただけだった。全世界のメディアが報道競争を繰り広げる中でも、国営新華社通信は14日夜、韓国のTV朝鮮の報道を引用したソウル発記事を配信した後、続報を伝えていない。

 中国外務省の耿爽副報道局長も15日の定例会見で、「マレーシアで発生した事件であり、現地当局が調べている」という言葉を繰り返すばかりだった。耿副報道局長は「金正男氏の妻子はマカオにいるのか」という質問にも「把握していない」と説明を避けた。

 北朝鮮が金正男氏を暗殺した可能性が浮上したことで、中国の専門家も困惑した。北京のある大学教授は「いったいなぜだ」と戸惑いを隠さなかった。南京大の朱鋒教授は本紙の電話取材に対し、「今回の事件が北朝鮮の犯行だとすれば、金正恩氏は権力のため、他国にいる自分の兄を殺害したことになる。これまで金正恩氏を国連の刑事法廷(国際刑事裁判所)に立たせることに反対だった中国はこれ以上反対しにくくなる」と指摘した。その上で、朱教授は「今回の事件は北朝鮮が金正日(キム・ジョンイル)時代よりもさらに独裁的で勝手に振る舞うことを中国に悟らせる警鐘だ。中国は北朝鮮をこれ以上特別な国として対応しないのではないか」と予想した。北京の別の外交筋も「中国にとって金正男氏は北朝鮮の急変事態に備えたカードだった。北朝鮮の犯行だと判明すれば、中国も見過ごすことはできないだろう」と指摘した。

北京=李吉星(イ・ギルソン)特派員
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