韓米FTA発効5年:大騒ぎした「あの話」は全てデマだった

■盲腸手術費900万ウォン

 「韓米FTA発効による医療民営化で盲腸(急性虫垂炎)の手術費が900万ウォン(約90万円)まで上昇する」というデマも広がった。しかし、健康保険審査評価院によると、盲腸手術の個人負担額(6人部屋基準)は12年の41万ウォンから昨年の45万ウォンへと4万ウォン上昇しただけだった。

 「韓米FTAで米国企業が上水道の供給権を獲得すれば、水道料金が値上げされ、水道水の代わりに雨水を集めて使うことも出てくる」といったうわさもインターネット上で注目された。「米国とFTAを結んだボリビアで米国系企業のベクテルが上水道事業を民営化し、水道料金を値上げした結果、市民が雨水を使わざるを得なくなった」という話が発端だった。しかし、ボリビアが米国とFTAを結んだ事実はなく、上水道、ガス、電力といった公益事業はそもそも韓米FTAの対象ではなかった。15年現在で韓国の水道料金は平均で1立方メートル当たり683.4ウォンで、韓米FTA発効前に比べ64ウォンの値上がりにとどまっている。

 韓米FTAでサービス市場が開放すれば、韓国のサービス産業が崩壊し、カジノ、成人向け産業、マルチ商法があふれることになるとの見方もあった。しかし、それも事実には程遠い。ただ、サービス貿易では韓国が赤字だ。韓国貿易協会によると、韓国のサービス収支赤字は11年の69億ドルから15年には94億ドルに拡大した。特に知的財産権の使用料が大きく増えた。

 延世大国際学大学院のソン・ヨル教授は「当時反対陣営は米国を中心とする新自由主義に対する拒否感、超大国との二国間交渉には準備不足だという不安感などを挙げたが、今になって振り返れば、交渉で押されることはなかった」とした上で、「賛成陣営もFTAが破綻すれば、韓米同盟が崩壊したり、韓国が滅んだりするかもしれないなどと行き過ぎた主張を行ったのは事実だ」と指摘した。韓国経済研究院の権泰信(クォン・テシン)院長は「国家の重大事項を決定する際、デマが広がり、消耗的な論争が続くことが多いが、それを規制する社会的なルールが必要だ」と主張した。

【図】韓国の対米輸出の伸びと黒字規模

李衛栽(イ・ウィジェ)記者
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