【社説】前代未聞、政権奪取前から官僚を脅す姜昌一議員

 共に民主党の姜昌一(カン・チャンイル)議員は15日に開催された国会外交統一委員会で、外交部(省に相当、以下同じ)の安総基(アン・チョンギ)第2次官に対し「今、政府には尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官とは違う考えを持った人間が多いはずだ」とした上で「新政権が発足すれば、当然政策の転換があるだろう。そのため今の政策とは違った考えを持つ人間を中心に早急にタスクフォース(特別チーム)を立ち上げるべきだ」と指摘した。これに安次官が差し障りのない説明をすると、姜議員は「(新政権が発足すると)局長たちは全員辞表を出すつもりか」などと問い詰めた。さらに「外交部は尹炳世の手下ではない」とまで言ってのけた。

 またこれとは別に、かつての金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で外交・安全保障関連部処(省庁)の閣僚やブレーンだった人物が中心メンバーを務める「韓半島(朝鮮半島)平和フォーラム」なる団体が先日論評を出し、政府に対し「これ以上は何もするな」と要求した。さらに外交・安全保障政策を担当する官僚らに対しても「これ以上の反逆行為はやめよ」と強く求めた。この種の脅迫めいた要求が、上記の姜昌一議員のように国会の常任委員会においても政府関係者に対して堂々と行われるようになった。これは次の与党になることが有力な共に民主党の一部議員だけの話でない。今や国全体がこのような雰囲気になりつつあるのだ。

 政権が交代すれば政策が変わるのは当然だが、政権の座に就く前から官僚らに強圧的な態度で命令するような政党はこれまで見たことがない。現時点で共に民主党が公言する政策の中には開城工業団地と金剛山観光の即時再開、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備の中止など、国全体をひっくり返しかねない重大な問題も含まれている。国民的な合意が必要なこれらの政策をめぐり、担当者に「用心せよ」などと圧力を加えるのはどう考えても行き過ぎた言動だ。

 ちなみに朴槿恵(パク・クンヘ)政権で大統領秘書室長だった金淇春(キム・ギチュン)被告は2014年、文化体育観光部の幹部5人を辞職させようと同部に不当な圧力を加えたとして、職権乱用の容疑で起訴されている。ところが姜昌一議員は今回、自らが所属する政党が政権を握る前から官僚らに対し「辞表を出すつもりか」などと脅迫した。これでは「この政党が政権を握れば何をするか分からない」という懸念は全くの誇張でもないように思われてくる。姜議員は外交部の職員に対し「誰の手下か」と問い詰めたが、彼らが政権を握れば政府の全ての部処(省庁)を「共に民主党の手下」で満たすつもりだろうか。たとえ支持率が圧倒的1位だとしても、国民はこのようなことを求めているわけではないはずだ。

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