WBC:小学生からカーブ酷使、「国宝級投手」出れば奇跡

 韓国野球委員会(KBO)は今年1月、39校の高校生投手316人を対象に「アマチュア野球現況アンケート」を実施した。このアンケートの報告書によると、回答者の23%は「13歳からカーブを投げた」と答えた。これはスライダーなどほかの変化球は除いた数値だ。米国スポーツ医学研究所(ASMI)では14-16歳以降にカーブを練習するよう勧告している。関節に負担がかかるカーブを低年齢時からやたらに投げれば、けがのおそれが高くなるからだ。しかし、韓国では多くの投手が小学生のころから「勝つ野球」のため変化球を投げる。ハンファ・イーグルスの金星根(キム・ソングン)監督は「最近の小学生は10球のうち8球も変化球を投げることもある」と言った。

 いわゆる「酷使」も大物投手誕生の障害となっている。中学・高校野球ではエース1人が試合のほとんどを投げるケースが多い。これを防ぐため、2014年から高校野球の投球数制限(130球)の規定が設けられた。だが、ある野球解説者は「試合では規定に従っても、練習時に150-200球ずつ投げるのは止められない」と話す。

 事実、前述のKBO報告書によると、回答者の92%が「腕が疲れている状態で投球した経験がある」と答えている。こうした状況のため、高卒の有望投手がプロ入りと同時に故障を抱えることも少なくない。首都圏を本拠地とするプロ球団のスカウトは「有望投手だと思って入団させても、すぐに手術を受けたり、リハビリに入ったりするケースが必ずと言っていいほどある」と述べた。

 こうした構造の下で大型投手の登場を待ち望むのは奇跡と言っていいだろう。韓国野球関係者の間ではこの投手不足は当分続くものと予想されている。

 いわゆる「フリーエージェント(FA)バブル論」もこうした状況と似ている。ごく少数の大物投手に関心が集中し、年俸ばかり高くなっているということだ。こういった現実は外国チームと対戦する今回のWBCでも如実に現れていた。ある野球関係者は「韓国のFA選手の年俸が上がれば上がるほど、これとは対照的に『コストパフォーマンス』がいい外国人投手への依存度が高まるだろう。韓国人のエース級投手を育成するには、韓国野球界の各部門で根本的な改革が必要だ」と語った。

イ・スンフン記者
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