【コラム】米国の対北先制攻撃と韓国の選択

 4月22日、中国の国営メディア『環球時報』が「米国が北朝鮮の核施設を先制攻撃するとしても、中国は軍事的に介入しないだろう」と報じたのも意味深長だ。しかし先制攻撃がなされるとしても、韓国が期待する完全な非核化の実現は難しい、というのが現実的な問題だ。どこにあるのか韓米の情報当局も把握できていない北朝鮮の秘密核施設、100基を超えるミサイルの移動式発射台(TEL)、そしておよそ1000発の弾道ミサイルのうち相当数は、先制攻撃を生き残って韓国を脅かし続ける可能性が高い。一部の専門家は、米中両大国が韓国を差し置いて、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発阻止および核凍結のレベルで妥協点を探る可能性も懸念している。

 トランプ大統領は、北朝鮮軍創設記念日の前日に当たる4月24日に、日本の安倍晋三首相、中国の習近平国家主席と相次いで電話会談を行い、北朝鮮の核の阻止に向けた緊密な協力をアピールした。しかし、当の韓国は蚊帳の外だった。このように、北朝鮮の核をめぐり最近切迫しつつある韓半島(朝鮮半島)周辺の情勢は、韓国人に、単なる緊張感以上の覚悟を求めている。大統領候補らも、北朝鮮の核問題の第一当事者は韓国人なのだという事実をあらためて心に刻み、より根本的な北朝鮮の核・ミサイルへの備えをどのように推進するのか、深く考えるべきだ。北朝鮮の政権が核の放棄を拒否し続ける場合、金正恩(キム・ジョンウン)委員長の除去を含む北朝鮮の政権交代、濃縮・再処理技術の確保を通した核武装潜在力(核武装の選択肢)の確保、戦術核再配備などが韓国独自のオプションになり得るだろう。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者・論説委員
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