「1人当たり294万円」 現代自労組、業績無視の賃上げ要求

 終末高高度防衛ミサイル(THAAD)問題による 中国の制裁で危機に直面している現代自動車では、労組による今年の賃上げ要求が1人当たり年3000万ウォン(約294万円)を超えることが分かった。

 現代自によると、同社労組は純利益の30%を成果給として支給するほか、基本給を15万4883ウォン引き上げることを要求している。成果給を労組要求通り、昨年の同社の純利益(1兆7159億ウォン)の30%として計算すると、従業員1人当たりの成果給は2541万ウォンとなる。これは中小企業の大卒新入社員の年収を上回る。基本給は定期昇給分(2万8000ウォン)を含めると、賃上げ要求額は18万2883ウォンとなる。

 労組はまた、現行60歳の定年を最長64歳まで延長することに加え、59-60歳での賃金を58歳水準に据え置くとした労使合意条項の削除を要求している。雇用人数全体を削減しない「総雇用保障合意書」の締結も求めた。自動車産業の構造変化でエコカーの生産割合が高まれば、内燃機関車の生産ラインで働く人の雇用が脅かされると懸念が背景にある。

 しかし、労組の賃上げ要求をめぐっては業績悪化を無視したものだとする批判が相次いでいる。現代自は昨年、18年ぶりに販売台数がマイナスとなり、営業利益率が2006年以降で最低の5.5%へと落ち込んだ。今年に入っても中国での業績低迷に苦しんでいる。現代自は1-3月期の営業利益が前年同期比6.8%減の1兆2508億ウォンにとどまり、国際会計基準を採用した10年以降の1-3月期としては最低となった。1-3月期の全世界での販売台数は108万9600台で、前年同期を1.6%下回った。労組に加入しない役員は年収の10%返納、課長級以上の社員は賃金凍結などが実施されている。

 現代自では昨年、労組が賃金交渉の過程で24回のストライキを行い、3兆1000億ウォン規模の損失が出たと推定されている。

金承範(キム・スンボム)記者
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