【コラム】環球時報に込められた習近平の内心

【コラム】環球時報に込められた習近平の内心

 中国の宣伝メディアを代表する人民日報と中国国営中央テレビ(CCTV)は北京都心部の東側にある。天安門広場から5-6キロメートル離れた場所だ。道路脇にある高層ビルのCCTVとは異なり、人民日報は目立たない。1ブロックにわたる広大な敷地を塀が取り囲んでおり、ベールに包まれたような印象を与える。武装警察が警備する正門を入り、人民日報と環球時報の建物が現れるまで徒歩で10分ほど歩かなければならない。

 環球時報は1993年、人民日報国際部の主導で創刊された。当初は海外の話題などを扱う週刊紙だったが、現在は発行部数150万部を超える国際ニュース専門に日刊紙へと発展した。環球時報は成功の秘訣として、商業的民族主義と通俗的な文章を挙げる。同紙はよくオーストラリアなど米国の同盟国を「米国のペット犬」と呼ぶ。4月26日に終末高高度防衛ミサイル(THAAD)が韓国・星州に配備された際には「THAADが中国の背中にナイフを刺した」という見出しを付けた。過激で直接的な表現のせいで「中国版FOXニュース」とも呼ばれる。

 中国の外交当局者や学者の中には、環球時報の信頼度や格を見下す人が多い。しかし、4月に限って見れば、同紙は兄貴分の人民日報を超える政府の内心を伝えているとの評価が聞かれる。

 環球時報は米中首脳会談の5日後の4月12日付社説で、初めて北朝鮮に対する原油供給制限に言及した。「北朝鮮が核・ミサイルによる挑発を強行するならば、国連の原油供給制限制裁に賛成せざるを得ない」と書いた。翌日には「核を放棄すれば、金正恩(キム・ジョンウン)政権の安全を保障し、経済的に支援を行う」とした。北朝鮮の朝鮮人民軍創建記念日を3日後に控えた4月22日付の社説はさらに異例で、「米国が北朝鮮の核施設に対する外科手術的な攻撃を加えても、中国は軍事的に介入する必要はない」というものだった。

崔有植(チェ・ユシク)国際部長
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