文政権の脱原発指南役、高校生向け講演で「フクシマ怪談」吹聴

 キム・イクチュン教授は高校生対象の講演で、「日本領土の70%は放射能に汚染され、日本で収穫された農産物も汚染されている」と主張したが、これも事実とはかけ離れているという。同教授は「米国科学アカデミー紀要」(PNAS)に掲載された論文の日本汚染地図を根拠に挙げ、こうした主張を繰り広げている。日本の食品衛生法の基準による土壌内セシウム濃度は2500Bq/kgが安全基準で、当時この基準以上に汚染された地域は福島原発一帯しかなかった。複数の原子力専門家は「キム・イクチュン教授は何の根拠もなしに基準を5Bq/kgに下げ、70%が汚染されていると主張している。食品の許容基準値も100Bq/㎏より上だが、5Bq/㎏を超えると危険だというのは根拠がない主張だ」と反論した。

 キム・イクチュン教授はまた、高校生たちに「危険性があるから世界が脱原発の方向に進んでいるのに、韓国だけがカネに目がくらんで原発への道を進んでいる」と主張した。これを聞いた生徒が「英国では原子力を予備発電装置として今も使用していると聞いた」と言うと、キム・イクチュン教授は「英国は先進国の中で唯一、原発を作る計画を持っているが、実際に建てられるかは確実ではない」と答えた。しかし現在、世界で建設中の原子力発電所は60カ所ある。放射線安全文化研究所の所長を務めたイ・ジェギ漢陽大学名誉教授は「2010年までに脱原発を決めていたスウェーデンはまだ原発を使っているし、フィンランドは新たに建設している」と話す。

 こうしたことから、「一方的な主張をする人物を高校での講演に招いたのは教育的でない」という指摘も一部にある。高麗大学教育学科のクォン・デボン教授は「示唆的で敏感な問題について外部講師を招く場合は、生徒たちがバランスの取れた視点を持てるようにすべきだ。感受性が強い高校生たちに一方的な主張を聞かせるのは危険だ」と話している。

チュ・ヒヨン記者
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • 文政権の脱原発指南役、高校生向け講演で「フクシマ怪談」吹聴
  • 文政権の脱原発指南役、高校生向け講演で「フクシマ怪談」吹聴

right

あわせて読みたい