【コラム】文在寅大統領の任期中に起こり得る朝鮮半島有事

 トランプ米大統領の「炎と怒り」発言、北朝鮮の「グアム島周辺射撃」は極端な表現で、合理的な思考の範囲内では現実になるとは考えにくい。米国の予防攻撃はたとえ文大統領が同意したとしても難しい。いまこの瞬間に金正恩氏がどこにいるか不明で、北朝鮮の核施設の位置と全貌も分からないからだ。攻撃が失敗した場合に備えた韓米全軍の事前準備を中国、ロシア、北朝鮮に察知されずに進めることもできない。しかし、誰にも分からないのは偶発的事態だ。予期しない衝突が戦闘拡大につながれば、その報告を受けるのは文大統領だ。

 トランプ大統領はまず、中国に貿易圧力を加え、北朝鮮に対する原油供給を阻もうとする可能性がある。しかし、中国が北朝鮮を捨てることはない。既に損得勘定は終わった。米国との貿易戦争にも準備ができているだろう。北朝鮮はロシアから原油を導入することもできる。米国の北朝鮮封鎖も中国側は阻止できない。結局は瀬戸際で米国と北朝鮮が交渉する可能性の方が高い。

 金正恩氏は核廃棄の見返りとして、制裁解除はもちろん、韓米同盟を終了させ、在韓米軍を撤退させろと要求するはずだ(在韓米軍が実際に撤退しても、金正恩氏は核を手放さないはずだ)。多くの専門家は米国が韓米同盟の終了だけは受け入れられないとみている。

 そうだとすれば、われわれが進むべき道は二つだ。北朝鮮は核とICBMの保有国になり、米国はそれを公式には認めない状況になり得る。時がたてば、対北朝鮮制裁はあいまいになるはずだ。もう一つは、北朝鮮がこれ以上核弾頭を増やさず、ICBMも発射しないという条件で対北朝鮮制裁が解除されるという妥協だ。北朝鮮は米国が認める核保有国となる。いずれの場合でも韓国は近くにある北朝鮮の核と遠くにある米国の核の間で生きていかなければならない。6・25(朝鮮戦争)以降の大韓民国の生存方式を根本から変える安全保障上の事件だ。

楊相勲(ヤン・サンフン)記者
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