塩田奴隷事件、国に賠償命令=ソウル中央地裁

 ソウル中央地裁は8日、いわゆる「塩田奴隷事件」問題と関連し、国に対して被害者の1人に3700万ウォン(約350万円)の賠償金を支払うよう命じる判決を下した。

 知的障害や視覚障害のある障害者が全羅南道新安郡の島で数年にわたり監禁されて働きをさせられ、時に暴力も受けていた事実が2014年に明らかになった。これは後に「塩田奴隷事件」と呼ばれるようになった。60人以上の被害者のうち、8人が翌15年11月に国を相手取り1人3000万ウォン(約290万円)、総額で2億4000万ウォン(約2300万円)の慰謝料を求める裁判を起こした。

 裁判長は原告8人のうち、警察に助けを求めながら救出されなかった男性1人については訴えを認め、国に賠償を命じる判決を下した。

 判決理由について裁判長は「原告は2013年8月20日未明、塩田から逃げだし近隣の派出所警察官に『暴行を受けながら働かされている』『島から逃げ出したい』などと訴えたが、この警察官は原告を保護せず経営者の違法行為を調べなかったばかりか、塩田の経営者を派出所に呼び出してから、自らは運動するといってその場を後にした」と説明した。裁判長はさらに「警察官による(無責任な)行動により、原告は塩田に連れ戻されたが、その時に原告が感じた戸惑いと挫折は非常に耐えがたかったはずだ」とも指摘した。

 ただしこの男性を除く他の原告7人については訴えが棄却された。

パク・サンギ記者
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