【萬物相】THAADの鼻先に家を構えた保守系議員

【萬物相】THAADの鼻先に家を構えた保守系議員

 2011年の東日本巨大地震でのことだ。福島第一原発からの放射能漏れ事故で、東京も安全ではないといううわさが出回った。韓国人社会は動揺し始めた。「急いで日本を離れるべきだ」。大使館職員らも、家族を避難させようとした。当時の権哲賢(クォン・チョルヒョン)駐日韓国大使に、夫人の親が連絡してきた。子どもだけでも韓国に送ってほしいということだった。大使夫人もそうしようと言った。すると権大使は、夫人に向かって叫んだ。「大使の家族は最後まで残り、一番最後に離れるものだ。その話は二度としてはいけない」。権大使は「私が愛する子どもを韓国に送らないのは、東京が安全だから」と言って、韓国人社会を説得した。この話が広まると、大使館内外の不安は鎮まった。

 韓国の保守系野党、自由韓国党のイ・チョルウ議員が、慶尚北道星州の高高度防衛ミサイル(THAAD)基地の近くに家を買った。THAAD基地から4キロ離れた場所だ。この家は昨年、「THAAD電磁波デマ」が広まった際に完成したため、買い手がいなかった。イ議員は、知り合い10人と共にこの家を買った。イ議員は昨年、住民を説得するため、THAADの周辺地域に行って暮らすと言ったことがある。今回、その約束を守ったわけだ。イ議員は最近、家族とここに10日間ほど滞在し、写真を撮った。イ議員の腕に抱かれた子どもの顔は、いとおしく見えた。

 星州のTHAAD基地は、イ議員の選挙区ではない。ショーだと言うこともできる。仮にショーだとしても、ごまかしのためのやらせショーではなく、言ったことを守るという責任感が込められたショーに見える。THAADに反対する団体が依然として電磁波デマにこだわり、THAAD有害論をばらまいている状況だ。そんなときに、金を出してTHAADのすぐ鼻先に家を買い、時間ができたら出掛けていって実際に生活する姿を見せることを、おとしめたくはない。新たに購入した家でイ議員が撮った写真は、ネットを通してあちこちに広まった。

 これまで韓国の保守政治家は、ひとかどの働きをするのは口だけで、肝心の自己犠牲や危険を甘受すべきときには骨惜しみをする姿を見せてきた。「言葉と行動は別」という政治家に幻滅を感じるという韓国国民は少なくなかった。ところが今回は違った。THAAD基地近くの自宅で子どもを抱いているイ議員の姿は、「電磁波の下で自分の体が焼かれるみたい」と歌って「THAADダンス」を踊る与党「共に民主党」の議員とは対照的だ。

 保守勢力に対する韓国国民の信頼は地に落ちてもなお下がり、地下室に押し込まれている。高所得にもかかわらず大した働きをしていないと思える野党議員は一人や二人ではない。そんなときに「イ・チョルウ」が数十人、数百人出てきたら、韓国国民の見方も変わるだろう。

李河遠(イ・ハウォン)特派員
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