【社説】ブレ続ける対北政策、文政権は国民をどこに導く気か

 前回の発射からわずか17日後、北朝鮮が再び日本上空を飛び越える弾道ミサイルを発射した。飛行距離はおよそ3700キロで、有事に韓半島(朝鮮半島)に向かう増援部隊の拠点となるグァムに届く距離だ。今後実際にグァム周辺をねらってミサイルが発射されれば、そのミサイルは間違いなく韓国の上空を通過するだろう。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長はできるだけ早く米本土に届く核ミサイルを完成させ、大韓民国を自らの手中に収めるため米国との交渉に乗り出すはずだし、またその計画を着実に実行しているのも間違いない。その決定的な瞬間はまさに目の前に近づいている。今や専門家だけでなく一般市民でさえこの事実を理解するようになった。

 ところがおそらく世界で唯一その事実を理解できないか、あるいは顔を背けているのが韓国政府だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領と韓国政府のぶれ続ける対北朝鮮政策はもはや理解もできないレベルだが、そのぶれの原因はこの明確な事実から顔を背けていることにある。

 金正恩氏は文大統領が北朝鮮への宥和政策を口にするたびに、軍事挑発を行ってそれに答えているが、これは今まで何回繰り返されただろうか。今回も韓国統一部(省に相当)が北朝鮮に800万ドル(約8億9000万円)相当の人道支援を検討中と報じられた翌日にミサイルが発射された。そのたびに文大統領は口では北朝鮮を非難するが、しばらくするとまた宥和政策に戻る。本当に何を考えているのか理解できないし、このまま韓国の5000万人の国民をどこに導こうとしているのか予想もつかない。

 北朝鮮がミサイルを発射した直後、文大統領は「韓国には(北朝鮮の挑発行為を)早期に押さえ込み、再起不能にする力がある」と発言した。しかし今月3日に水素爆弾とみられる核実験を強行した北朝鮮に対し、なにをどうやって対抗するというのか。北朝鮮による今回の核実験の破壊力は最大で16万トンと推定されている。これに対して韓国軍が保有する玄武ミサイルの爆発力は最大で2トンだ。それも昨日は北朝鮮に対抗するため発射したうちの1発がすぐ落下した。これでは再起不能になるのは間違いなく韓国の方だ。核に対抗できるのは核だけだ。ところが文大統領は米CNN放送とのインタビューで、韓国独自の核武装と米国の戦術核兵器の再配備のいずれにも否定的な考えを示した。このようにこちらが取り得る対抗策を最初から全て放棄し、自ら国を丸裸にする大統領が「北朝鮮を再起不能にする」と言っている。金正恩氏は笑いが止まらないだろうし、世界もあざ笑っていることだろう。

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース