食用犬肉、韓国に法規制なし

 「何がどれだけ入っているのか分からない」

 8月23日、ソウル・東大門の京東市場。ある食用犬肉店の前に、スーパーでよく見るアイスクリーム用冷凍庫が置かれていた。その中はアイスクリームではなく、毛を取っただけでほかには何の加工もされていない犬肉でいっぱいだった。この状態のままでも売れるというのが店側の説明だ。食用犬の飼育場で自ら食肉処理をしてきた店主は、「食肉処理工程は毛を抜いてから(おいしそうに見せるため)皮を火であぶるだけ。(この過程で)衛生検査を受けることは特にない」と言った。別の犬肉業者パクさん(53)も「食肉処理する時の衛生基準は特にない。調理する前に3分ほど煮て食べるといい」と言った。

 革新系野党「正義党」の李貞味(イ・ジョンミ)議員室と市民団体「カラ」によると、韓国の食用犬飼育場は2862カ所、食用として流通している犬は年間78万-100万匹と推定される。しかし、犬肉にどんな有害成分がどれだけ含まれているかなどについて、食品当局は全く管理していない。現行の畜産物衛生管理法は牛や豚などの家畜を飼育する畜産業者を規制しているが、犬は同法が規制する「食用を目的とする動物」に含まれていないからだ。このため、飼育・食肉処理・流通過程などで何の規制を受けないのだ。また、公式統計で犬肉の輸入は「0件」だが、街中では「中国産犬肉もかなりある」という話が絶えない。

 各市民団体は「犬肉は『抗生物質まみれ』だ」と主張する。動物愛護団体の「動物自由連帯」が建国大学獣医学部3R動物福祉研究所に依頼し、犬肉サンプル93件について抗生物質の残留検査を行ったところ、42件(45.2%)から基準値を上回る抗生物質成分が検出された。動物自由連帯は「劣悪な飼育環境などのせいで病気に対する抵抗力が落ち、抗生物質が乱用されているのだろう」と主張している。

 「食用犬肉が依然として存在している現実を考れ、畜産物衛生法上の『家畜』に犬も入れるべきだ」という主張もあるが、動物保護団体などは「犬肉を合法化しようというのか」と反対している。専門家は「食用犬の飼育場を段階的に閉鎖することも必要だが、今すぐなくせないなら、まずは衛生管理・監督を可能にする根拠から整えるのが合理的だ」と指摘している。

イ・ギフン記者
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