「THAAD封印」できず中国のブーメラン返しに遭う韓国

中国、韓国との会談のたびに「三不」の履行を要求
報復措置も依然続く

 韓国外交部(省に相当)の康京和(カン・ギョンファ)長官が22日、北京で中国の王毅外相と会談した後、韓国外交部は「今年12月中旬に文在寅(ムン・ジェイン)大統領が国賓として訪中するよう推進することで合意した」と発表した。しかし中国側の発表には文大統領の訪中に関する内容は全く含まれておらず、王外相が「韓国側が明らかにした『三不(三つのノー)』の立場を重視する」と述べたという事実だけが注目されている。韓国政府は10月31日、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)問題を「封印」するとして中国とTHAAD問題での関係修復で合意したが、むしろ韓中会談のたびに「三つのノー」に関する中国の要求に悩まされるという泥沼に陥っている。

■中国主席・首相・外相からの相次ぐ「THAAD説教」

 康長官は23日、北京での特派員懇談会で「文大統領の12月の訪中が、最近の韓中関係改善のモメンタム(勢い)を強化・発展させる上で重要な契機になるということで一致した」と述べた。また、来年の平昌冬季オリンピック・パラリンピックを「平和の五輪」として開催するために、緊密に協力することも明らかにした。しかし中国側の発表文には文大統領の訪中や平昌冬季五輪に対する言及は全くない。

 中国側の発表文によると、王外相は「三不」という言葉とその内容にまで言及し、THAAD合意の履行を迫った。王外相は「韓国が明らかにした▲THAADの追加配備をしない▲米国のミサイル防衛(MD)システムに参加しない▲韓米日3か国の軍事同盟を推進しない-という『三不』の立場と、臨時で配備されたTHAADシステムによって中国の安全保障の利益を損なうつもりはないとした立場について、注視する」と述べた。さらに王外相は「中国には『言葉には信用がなければならず、行動には結果がなければならない(言必言、行必果)』という言葉がある」と説明した。韓国政府が「約束ではない」と主張していた「三不」の履行をこれみよがしに要求してきたのだ。康長官は王外相の言葉に抗議せず「これ(10月31日の合意文)を韓国側は非常に重要だと考えている」と応じた、と中国側は発表した。

 このように韓中間で会談に関する発表文の内容が完全に異なるという現象は、10月31日のTHAAD合意以降、何度も繰り返されている。THAAD合意について、韓国大統領府(青瓦台)は「(中国がTHAADに対する立場の違いを)これ以上言及しないというものだ」と説明していたが、その後3度行われた韓中会談で、中国の習近平国家主席、李克強首相、王外相は3人ともTHAAD問題について韓国側に「説教」した。11日の韓中首脳会談で習主席は文大統領に対し、THAADに反対する立場を何度も伝え「歴史に対する責任」とまで言い切った。

■中国側の要求は「三不+アルファ」にエスカレート、報復措置も続く

 中国側はTHAADに言及しないどころか、逆に「三不の履行」に「+アルファ」まで持ち出して要求をエスカレートさせている。王外相は康長官との会談で「未来の両国関係の発展に対する戦略的計画を立てなければならない」として「『一帯一路(中国主導の経済圏構想)』の枠組みの下で戦略的連携と実務協力を強化する」ことに言及した。韓国を中国の域内戦略の枠組みに引き入れようというわけだ。

 一部メディアは23日、中国側が今年7月からTHAADに関する技術的説明、星州のTHAAD敷地の現地調査、THAADレーダーの中国方向への遮断壁設置という三つを韓国に要求し続けていると報じた。韓国外交部は「そのような事実はない」と否定したが、韓国政府の現・元関係者は、中国側が10.31合意より以前に、かなり長い期間にわたりTHAADレーダーの視察や常駐監視を求めたり、THAADレーダーの性能を落とす技術的措置が必要などと主張したりしていたことを認めた。今後、韓中の軍ルートでTHAAD関連の協議が行われた場合、こうした要求が再び出される可能性がある。

金真明(キム・ジンミョン)記者
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