【萬物相】西海沖の中国軍艦

【萬物相】西海沖の中国軍艦

 中国と東南アジア諸国が紛争を繰り広げている南シナ海は、韓半島(朝鮮半島)の面積の16倍に当たる350万平方キロメートルという広い海域だ。中国が領有権を主張する南沙諸島(スプラトリー諸島)は中国本土から1000キロメートル以上離れているが、ベトナムやフィリピンからは100-200キロメートルしか離れていない。それでも中国は1947年、南シナ海の周りに沿ってU字型の線を9本勝手に引いて(九段線)、南沙諸島を含む南シナ海の85%以上を自分たちの海だと主張している。「九段線は領有権の根拠となり得ない」という常設仲裁裁判所(PCA)の判決も、中国は無視している。米国などはU字型の九段線を中国の「飢えた舌」と呼んでいる。

 中国は海で領有権争いが起こった場合、多数の漁船をまず行かせる。「海上民兵隊」という公式組織もある。相手国が「漁船の群れ」を取り締まるため警備艇などを向かわせると、中国も軍艦を派遣して対抗する。数字で中国にかなう国はない。中国は数百隻の漁船や海上警察船・軍艦で紛争地域をキャベツのように何重にも取り囲み、相手を無力にする。いわゆる「キャベツ戦略」だ。

 4日午後、仁川市甕津郡の小青島から南西87キロメートルの海上で、トーゴの商船が沈没した。公海上だが、韓中の中間線から見て韓国側に近い場所だ。遭難信号を受信した韓国海洋警察が警備艦艇を派遣したが、中国の軍艦の方が先に到着していた。中国の軍艦は船員10人のうち6人を救ったという。中国の軍艦は交信で「韓国海洋警察の支援は必要ない」とも言った。

 韓中間にはまだ海洋境界線がない。両国は1996年、「海の憲法」と言われる国連海洋法条約に加入した後、排他的経済水域(EEZ、沿岸から200カイリ)確定のため数十回にわたり交渉したが、21年たっても結論が出ていない。両国のEEZが重なる場合、その中間線を境界とするのは国際慣例であり常識だ。ところが、中国は「国土面積や人口も反映させるべきだ」ととんでもない論理を押し通そうとしている。大国は海もさらに大きく占めるべきだというのだ。

 中国の軍艦が頻繁に中間線を越えてくるのは、海洋境界妥結に備えて活動領域の根拠を残そうという意図である。一方、韓国の海洋警察船や軍艦が中間線を越えて向こう側に行ったという話は聞かない。中間線から韓国側にある離於島の海上も中国漁船だらけだという。中国海軍は今年の夏だけで2回も西海(黄海)で大規模な訓練をした。中国空軍は4日の韓米空軍訓練に対抗して韓半島近くを偵察した後、「行ったことのない航路に沿って行ったことのない空域で訓練した」と明らかにした。中間線を越えてきたと思われるが、韓国側は知ってか知らでか何も言っていない。

アン・ヨンヒョン論説委員
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