クアルコム、サムスンから台湾TSMCに乗り換え

 サムスン電子が半導体の受託生産(ファウンドリー)事業の最大顧客である米通信用半導体大手クアルコムをライバルの台湾積体電路製造(TSMC)に奪われることが分かった。アップルに続き、クアルコムまで取引先を変更した場合、サムスン電子のファウンドリー事業に大きな支障が出ることは避けられない見通しだ。

 米経済誌フォーブスは27日、クアルコムが来年量産する次世代アプリケーション・プロセッサー(AP・スマートフォン用の中央演算処理装置)である「スナップドラゴン855」の生産をサムスン電子ではなく、TSMCに委託する方針だと報じた。日本の日経アジアンレビューもクアルコムがTSMCとスナップドラゴン855の生産について協議しているとした上で、来年末にも量産に入ると予測した。

 クアルコムがTSMCに生産委託先を変更したのは、製造プロセスと価格競争力でファウンドリー世界首位のTSMCがサムスンをリードしていると評価したためだ。2015年からクアルコム向けの半導体を生産してきたサムスン電子は現在、回路線幅10ナノメートル(ナノは10億分の1)の製造プロセスでモバイルチップを生産しているが、TSMCは来年から7ナノメートル技術を実用化すると伝えられている。半導体業界関係者は「クアルコムはTSMCの長年の顧客だ」とした上で、「製造プロセスによって製品の生産性が大きく違ってくるため、技術力でリードするTSMCを選んだものだ」と指摘した。

 サムスン電子は今年、ファウンドリー事業部を社長級組織に格上げし、6兆ウォン(約6300億円)の設備投資を行うなど、集中的に育成している。2022年までにファウンドリー市場でのシェアを25%まで引き上げる計画も発表した。しかし、顧客確保で困難に直面し、今年のファウンドリー事業の売上高は前年比2.7%増の43億9800万ドル(約4963億円)にとどまる見通しだ。

パク・コンヒョン記者
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