韓国大型スーパー「Eマート」、中国進出20年で完全撤退

残り5店舗の営業権売却

 韓国の大型スーパーとしては初めて1997年に中国に進出した「Eマート」が20年で完全撤退した。

 中国国内に残っていた5店舗の営業権売却について、Eマートは29日、中国政府が最終「承認」をしたと発表した。Eマートは今年9月に5店舗をタイの食品・流通企業CPに売却する契約を結んだ。外資系企業同士の営業権取引は、手順上は中国当局に申告だけでいいが、中国当局は今回の申告受理をまるで「承認」であるかのようにうるさく取り扱ったという。

 ある流通業界関係者は「営業許可権の売却申告を処理するのに3カ月もかかったことについて、一部では『終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の影響ではないか』という声もある」と語った。Eマート側は「今回売却した5店舗のほかにも1店舗あるが、これはEマートが所有する店舗なのでいつでも撤退できる」と話している。

 Eマートの中国国内の店舗数は一時30近くあったが、現地に根付くことはできなかった。このため、2011年から段階的に売却してきたが、13年以降から現在までの営業損失だけでも1500億ウォン(約158億円)に達するという。

 EマートとCPは今回の5店舗の売却価格を公表していないが、流通業界では帳簿価格の600億ウォン(約6億3000万円)台よりも低いと見ている。中国国内の営業状況が最近悪化しているのに加え、「THAAD問題」まで発生して適正な価格で売却するのは難しかったというのだ。Eマートは、中国から完全に撤退する代わりに、ベトナムやモンゴルなど別のアジア諸国に力を入れる方針だ。

 一方、中国の店舗売却を推進している別の大型スーパー「ロッテマート」では「現在、買収の意向がある複数の企業が店舗調査を行っている段階だ。店舗数が100以上あるため、売却にも時間がかなりかかるものと見られる」と話している。

キム・チュンリョン記者
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